コラム
たんぱく質はなぜ大切?筋肉・肌・髪との関係と1日の摂取量の目安
健康と栄養
「たんぱく質は筋トレをする人が摂るもの」
「プロテインは運動をしている人のためのもの」
そんなイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、たんぱく質は筋肉だけの栄養素ではありません。
筋肉、皮膚、髪、爪など身体を構成する材料になるほか、
酵素、抗体、さまざまな生理機能に関わる物質など、
私たちの身体の中で幅広い役割を担っています。
この記事では、
たんぱく質とは何か、身体の中でどのような働きをしているのか、
1日にどのくらい必要なのか、美容との関係、
摂りすぎや不足で注意したいこと
を分かりやすく解説します。
1.たんぱく質とは?
たんぱく質は、
炭水化物・脂質と並ぶ
三大栄養素の一つです。
英語では「protein(プロテイン)」と呼ばれます。
プロテインという言葉を聞くと、
粉末状の栄養補助食品を思い浮かべる方も多いですが、
本来「protein」はたんぱく質そのものを意味します。
肉、魚、卵、乳製品、大豆製品など
普段の食事に含まれているたんぱく質も
すべてプロテインです。
たんぱく質は身体を構成する重要な成分の一つで、
私たちが生きていくために欠かせません。

たんぱく質は筋肉だけでなく、身体のさまざまな組織や機能に関わる重要な栄養素です(イメージ)
2.たんぱく質を作る「アミノ酸」
食事から摂取したたんぱく質は、
消化によってアミノ酸などに分解され、
身体の中で再び必要なたんぱく質を作るために利用されます。
人体のたんぱく質を構成する主なアミノ酸は20種類あります。
その中で、
身体の中だけでは必要量を作ることができず、
食事から摂取する必要がある9種類を
必須アミノ酸と呼びます。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- リジン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- スレオニン
- トリプトファン
- ヒスチジン
3.たんぱく質は身体の中で何をしている?
たんぱく質というと筋肉をイメージしやすいですが、
身体の中では非常に多くの種類のたんぱく質が働いています。
① 身体を作る構造たんぱく質
筋肉、皮膚、腱、髪、爪などには、
さまざまなたんぱく質が含まれています。
代表的なものとして、
コラーゲンや
ケラチンなどがあります。
コラーゲンは皮膚、骨、軟骨、腱などに存在し、
ケラチンは髪や爪などを構成しています。
② 筋肉を動かすたんぱく質
筋肉には、
アクチンやミオシンなどの
収縮に関係するたんぱく質があります。
運動後の筋組織の維持や修復にも、
食事から必要なたんぱく質を摂取することが重要です。
③ 酵素として働く
身体の中では、
非常に多くの化学反応が起きています。
その反応を助ける
酵素の多くもたんぱく質からできています。
消化に関係するペプシンや、
脂質の消化に関係するリパーゼなどもその一例です。
④ 物質を運ぶ
身体の中では、
さまざまなたんぱく質が物質の運搬に関わっています。
- ヘモグロビン:酸素の運搬に関与
- アルブミン:さまざまな物質の運搬や血液の浸透圧維持に関与
- リポタンパク質:脂質の運搬に関与
- セルロプラスミン:銅の運搬などに関与
⑤ 身体を守る仕組みに関わる
抗体として働く免疫グロブリンも
たんぱく質です。
ただし、
たんぱく質を多く食べれば
「免疫力が上がる」という意味ではありません。
必要な栄養を不足なく摂ることが基本です。
⑥ 鉄などを貯蔵する
フェリチンは、
身体の中で鉄を貯蔵する働きを持つ
たんぱく質です。
⑦ ホルモンや受容体などにも関係する
身体の情報伝達に関わる物質にも
たんぱく質が使われています。
例えば、
インスリンはペプチドホルモンで、
インスリン受容体もたんぱく質です。
一方で、
すべてのホルモンがたんぱく質からできているわけではありません。
ステロイドホルモンなど、異なる種類のホルモンもあります。

肉・魚・卵・大豆製品など、普段の食事からさまざまなたんぱく源を取り入れることができます(イメージ)
4.たんぱく質が不足するとどうなる?
健康な方が普通に食事をしている場合、
多少摂取量が少なかったからといって
すぐに明確な症状が出るわけではありません。
一方、
食事量そのものが少ない状態や
栄養不足が長期間続いた場合には、
たんぱく質不足も問題になることがあります。
特に高齢の方、
食欲が落ちている方、
極端な食事制限をしている方などでは注意が必要です。
筋肉量の維持
筋肉を維持するためには、
たんぱく質だけではなく
運動や十分なエネルギー摂取も重要です。
特に年齢を重ねると筋肉量が減少しやすくなるため、
食事と身体活動の両方を意識することが大切です。
髪・皮膚・爪
髪や爪、
皮膚を構成する成分にも
たんぱく質が含まれています。
ただし、
抜け毛、爪の割れ、
肌の変化にはさまざまな原因があるため、
「たんぱく質不足が原因」と自己判断しないこと
も重要です。
疲労感=たんぱく質不足とは限りません
以前の記事では、
たんぱく質不足によって
疲れやすさや集中力低下が起こると説明していました。
重度の栄養不足などでは
体調に影響する可能性がありますが、
疲労や集中力低下には、
睡眠不足、貧血、ストレス、病気など
さまざまな原因があります。
長く続く場合には、
たんぱく質だけの問題と考えず
医療機関で相談しましょう。
5.アルブミンとは?
アルブミンは、
血液中に多く存在するたんぱく質の一つです。
血管内に水分を保つ働きや、
脂肪酸、ホルモン、薬物など
さまざまな物質の運搬にも関係しています。
アルブミンが著しく低下している状態では、
むくみなどが起こることがあります。
低アルブミン=たんぱく質を食べていない、ではありません
血液検査でアルブミンが低いと、
「たんぱく質をもっと食べればよい」
と思うかもしれません。
しかしアルブミン値は、
栄養状態だけで決まるものではありません。
肝臓や腎臓の病気、
炎症など、
さまざまな状態によって変化します。
低アルブミンを指摘された場合には、
食事だけで判断せず医師による原因の確認が必要です。
アルブミンが低いと薬が効かなくなる?
以前の記事では、
「アルブミンが少ないと薬を運べないため、
薬が効かなくなったり副作用が出たりする」
と説明していました。
これは少し単純化しすぎています。
薬の中には血液中でアルブミンと結合するものがあり、
アルブミン値の変化によって
薬物動態に影響が出る場合があります。
しかし影響は薬によって異なるため、
「アルブミンが低い=薬が効かない」
とは言えません。
6.1日にどのくらいたんぱく質を摂ればいい?
必要なたんぱく質量は、
年齢、性別、体格、
運動量、妊娠・授乳、
病気の有無などによって異なります。
一般的な目安として
「体重1kgあたり約0.8〜1.0g程度」
という数字を見ることがありますが、
すべての人に一律に当てはまる量ではありません。
特に高齢者や運動量の多い方では、
より多くのたんぱく質摂取が検討されることもあります。
体重50kgで、1kgあたり0.8〜1.0gと考える場合
約40〜50g/日
ただし、
実際の食事ではグラム数だけにこだわりすぎず、
1日を通して複数の食事から摂取することを考えましょう。
病気・けが・妊娠中なら「2g/kg必要」ではありません
以前の記事では、
病気やけがの治療中、
妊娠中、
成長期の子どもには
「体重1kgあたり約2g必要」としていました。
しかし、
これは一律の基準として使用することはできません。
病気やけがでは、
状態によって必要量が増える場合もあれば、
逆に腎臓病などで摂取量の調整が必要になる場合もあります。
妊娠中も、
妊娠時期などに応じて必要量を考えます。
治療中の病気がある方や妊娠中の方が
自己判断で高たんぱく食やプロテインを大量に摂取するのではなく、
医師や管理栄養士などへ相談してください。
7.動物性と植物性のたんぱく質
食事から摂れるたんぱく質は、
大きく動物性と植物性に分けて考えることができます。
- 魚
- 肉
- 卵
- 牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
- 豆腐
- 納豆
- その他の豆類
- ナッツ類
動物性食品には
必須アミノ酸をバランスよく含む食品が多くあります。
一方、
大豆や豆類などの植物性食品も
重要なたんぱく源です。
「動物性は悪い」「植物性だけが健康的」
と分けるのではなく、
食事全体のバランスを見ることが大切です。

一つの食品だけに偏らず、さまざまなたんぱく源を食生活に取り入れていきましょう(イメージ)
「肉は腸に長く残って負担になる」とは一概に言えません
以前の記事では、
動物性たんぱく質は消化に時間がかかり、
腸内に長く残るため負担が大きいと説明していました。
しかし、
動物性たんぱく質を一括して
「腸に悪い」と考える必要はありません。
食品の種類、
脂質量、
食べる量、
その方の消化器の状態などによって違いがあります。
毎食少しずつ取り入れる
1日の必要量を夕食だけでまとめて摂るよりも、
朝・昼・夕食に分けて
たんぱく質を含む食品を取り入れると考えやすくなります。
例えば朝食であれば、
卵、納豆、ヨーグルトなどを
いつもの食事へ加える方法もあります。
プロテインドリンクは必要?
通常の食事から必要なたんぱく質を摂れる場合には、
必ずしもプロテイン製品を使用する必要はありません。
一方で、
運動量が多い方や、
食事だけでは摂りにくい事情がある方が
補助的に使用することはあります。
プロテインは薬ではなく食品ですが、
多く飲めば健康になるというものでもありません。
8.たんぱく質と美容の関係
美容を考えるうえでも、
たんぱく質は重要な栄養素です。
皮膚、髪、爪などにも
たんぱく質が含まれているためです。
コラーゲンもたんぱく質
コラーゲンは、
皮膚の真皮などに存在する
構造たんぱく質の一つです。
ただし、
たんぱく質をたくさん食べれば
そのまま肌のコラーゲンになり、
しわやたるみを防げるという仕組みではありません。
肌の変化には、
年齢、
紫外線、
皮膚の構造、
生活環境など
さまざまな要素が関係します。
髪・爪とケラチン
髪や爪には、
ケラチンというたんぱく質が多く含まれています。
そのため、
極端な食事制限などで栄養状態が悪化すれば、
髪や爪にも影響が出る可能性があります。
ただし、
薄毛や脱毛、
爪の変形などには
別の病気や原因が関係する場合もあります。
9.たんぱく質を摂るときの注意点
腎臓の病気がある方
「たんぱく質は腎臓に悪い」
と一律に考えることはできません。
一方、
慢性腎臓病などでは、
病状に応じてたんぱく質摂取量の調整が必要になる場合があります。
腎機能について治療中の方は、
自己判断で高たんぱく食やプロテインを増やさず、
主治医や管理栄養士へ相談してください。
たんぱく質だけを増やさない
健康のために必要なのは
たんぱく質だけではありません。
炭水化物、脂質、
ビタミン、ミネラル、
食物繊維なども必要です。
「たんぱく質さえ摂れば健康になる」
という食生活にならないようにしましょう。
10.ヒートショックプロテインと入浴について
以前の記事では、
「42〜43℃のお湯に5分、
または40℃のお湯に20分入れば
ヒートショックプロテインが増え、
3日間効果が続く」
という方法をご紹介していました。
ヒートショックプロテイン(HSP)は、
熱などのストレスに反応して細胞内で作られ、
たんぱく質の維持などに関係する一群のたんぱく質です。
しかし、
非常に熱い入浴を定期的に行えば健康になる、
壊れたたんぱく質が回復する、と単純に説明することはできません。
特に高温の入浴は、
のぼせ、脱水、血圧変動などにつながることがあります。
入浴はHSPを増やすことだけを目的にせず、
自分が無理なく入れる温度・時間で安全に行いましょう。
たんぱく質についてよくあるご質問
Q. たんぱく質は1日に体重×1g摂ればいいですか?
一つの目安として使われることはありますが、
必要量は年齢、性別、運動量、
妊娠・授乳、病気の有無などによって異なります。
すべての方に体重×1gが最適というわけではありません。
Q. 高齢者はたんぱく質を多めに摂った方がいいですか?
年齢を重ねると筋肉量を維持することが重要になるため、
たんぱく質摂取が重視されることがあります。
ただし、腎臓病などがある場合には調整が必要なため、
個々の健康状態に合わせて考えます。
Q. プロテインを飲めば筋肉が増えますか?
プロテインはたんぱく質を補給する食品です。
飲むだけで筋肉が増えるわけではなく、
適切な運動、エネルギー摂取、休養なども重要です。
Q. たんぱく質を摂れば肌のたるみを防げますか?
皮膚を構成する材料としてたんぱく質は必要ですが、
多く摂ればたるみを防げるというものではありません。
肌の加齢変化には紫外線や皮膚・皮下組織の変化など
複数の要素が関係します。
Q. 動物性より植物性たんぱく質の方が健康的ですか?
どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。
魚、肉、卵、大豆製品など、
食事全体のバランスを考えて摂ることが大切です。
Q. 病気の治療中はたんぱく質を2倍にすればいいですか?
いいえ。
病気によって必要なたんぱく質量は異なります。
自己判断で2倍にせず、
必要に応じて主治医や管理栄養士へ相談してください。
まとめ|たんぱく質は大切。でも「多ければ多いほど良い」ではありません
たんぱく質は、
筋肉、皮膚、髪、爪など身体を構成するだけでなく、
酵素、抗体、
物質の運搬など
さまざまな働きに関係する重要な栄養素です。
健康を維持するためには、
必要なたんぱく質を食事から摂取することが大切です。
一方で、
たんぱく質を増やせば免疫力が上がる、
疲れが取れる、
肌のたるみがなくなる、
病気の回復が早くなるというものではありません。
また、
必要量は年齢、運動量、
健康状態などによって異なります。
特に病気の治療中、
腎機能について指摘されている、
大きく食事内容を変更したいという場合には、
医師や管理栄養士などへ相談することも大切です。
肉・魚・卵・大豆製品など
さまざまな食品を取り入れながら、
たんぱく質だけに偏らない
バランスのよい食生活を心がけましょう。
食事や生活習慣も健康を考える大切な要素です。
たかはし治療院では、現在のお悩みや医療機関での診断内容、
身体の状態を確認しながら、
鍼灸・あん摩マッサージ指圧などを行っています。
たかはし治療院
院長 高橋道明




