コラム
慢性腰痛がなかなか良くならない理由とは?痛みと神経系・受診・鍼灸の考え方|大磯・平塚
鍼灸・施術
「腰痛が何年も続いている」
「整形外科では大きな異常はないと言われたけれど痛い」
「マッサージや鍼を受けると一時的に楽になるけれど、また戻ってしまう」
慢性的な腰痛で、このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
腰痛が長く続くと、
「腰の骨がずれているのではないか」
「筋肉がずっと硬いからではないか」
と、痛む場所だけに原因を求めたくなることがあります。
しかし慢性的な痛みでは、
腰の組織だけでなく、
痛みを感じる神経系の働き、
身体活動、睡眠、疲労、ストレス、
痛みに対する不安など、
複数の要素が関係することがあります。
以前はこれを分かりやすく
「脳が痛みを記憶している」
と説明することもありました。
この記事では、
慢性腰痛と「痛みの記憶」と呼ばれる状態をどう考えればよいのか、
医療機関を再受診するタイミング、
そして当院で行っているYNSA・経絡治療・鍼灸について
詳しく解説します。
慢性腰痛は「腰だけ」を見ても分からないことがあります
腰痛には、
急に発症して比較的短期間で落ち着くものもあれば、
数か月以上続く慢性的なものもあります。
慢性的な腰痛では、
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など
医療機関で診断されている場合もあります。
一方で、
画像検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず、
痛みが長く続く方もいます。
そのため、
「画像に異常がある=必ず痛い」
「画像に異常がない=痛くない」
と単純には判断できません。
生活習慣だけが原因でもありません
慢性腰痛では、
座っている時間、
仕事での身体の使い方、
歩行や運動量などを確認することがあります。
ただし、
「立ち方が悪いから腰痛になった」
「姿勢を正さなければ治らない」
と一つの生活習慣だけを原因と考える必要はありません。
姿勢そのものよりも、
同じ姿勢を長時間続けていないか、
どのような活動で症状が変わるのか
などを確認していくことが大切です。

慢性腰痛では、痛む場所だけではなく身体の状態や日常生活での動きなども確認します(施術イメージ)
慢性痛でよく聞く「痛みの記憶」とは?
慢性痛について説明する際、
「脳が痛みを記憶している」
という表現が使われることがあります。
これは、
脳の中に痛みが録画されて残っている、
という意味ではありません。
痛みが長期間続く中で、
痛みを感じたり調節したりする神経系の働きが
変化することがあるという考え方を、
分かりやすく表現したものと考えるとよいでしょう。
慢性痛の一部では、
こうした神経系の変化が
痛みが長く続くことに関係していると考えられています。
「痛みがある=組織が壊れ続けている」とは限りません
急性のけがでは、
組織の損傷と痛みが比較的分かりやすく結びつくことがあります。
一方で慢性痛では、
組織の状態だけでは
現在感じている痛みの強さを十分に説明できない場合があります。
これは、
「気のせい」
「本人が考えすぎている」
という意味ではありません。
痛みは本人が実際に感じている症状です。
そのうえで、
組織だけでなく神経系や身体活動など
複数の面から考えていくことが重要です。
寒さや疲労で痛みが変化することもあります
「寒い日に腰痛が強くなる」
「忙しくて疲れている時に痛みが強い」
「寝不足だといつもより痛く感じる」
という方もいます。
痛みの感じ方は、
温度、睡眠、疲労、ストレス、
身体活動などによって変化することがあります。
そのため、
痛む場所だけではなく、
「どんな時に症状が強くなるか」を知ること
も慢性腰痛を考えるうえで役立ちます。
「脳を正常に戻せば腰痛が治る」というものではありません
以前の記事では、
慢性腰痛では
「脳の機能を正常にする」
「脳のプログラムを書き換える」
という説明をしていました。
現在は、
このような表現だけで慢性痛を説明することはしていません。
慢性腰痛では、
痛みに関係する神経系の働きが変化する場合がありますが、
それだけがすべての原因ではないためです。
- 腰そのものの状態
- 脚への痛みやしびれ
- 身体の動かし方
- 仕事や日常生活での負担
- 活動量
- 睡眠の状態
- 疲労の程度
- 痛みに対する不安
これらを含めて、
一人ひとりの腰痛を考えていきます。
脳を「正常化」すれば免疫や自律神経まで治るわけではありません
以前の記事では、
「脳が正常になると免疫機能や自律神経も調整できる」
と説明していました。
しかし、
慢性腰痛への施術によって
脳を正常化し、
さらに免疫機能や自律神経まで正常になると
一律に説明することはできません。
当院では現在、
腰痛そのものと、
睡眠・疲労など一緒に抱えている身体症状を
分けて確認するようにしています。
慢性腰痛が長引く時に考えたいこと
慢性的な腰痛がなかなか変化しない場合、
「治療が足りないから」
という理由だけではありません。
痛みが続いている期間、
腰の病気、
仕事や生活環境など、
さまざまな要素が関係します。
「すぐに治らなければ失敗」と考えない
長期間続いている腰痛では、
一回の治療や施術ですべて解決しないことがあります。
一方で、
長く患っているから必ず長期間通わなければならない、
というものでもありません。
一定期間ごとに、
本当に状態が変化しているのかを評価すること
が重要です。
痛みだけでなく「できること」の変化を見る
慢性腰痛では、
痛みを0〜10の数字だけで追い続けると
変化が分かりにくい場合があります。
そこで、
日常生活の変化も確認してみましょう。
- 以前より長く歩けるようになったか
- 朝起きる時のつらさが変わったか
- 椅子から立ち上がりやすくなったか
- 仕事中の負担が変わったか
- 以前避けていた動作ができるようになったか
- 痛みを気にしない時間が増えたか
こうした変化も、
治療やセルフケアの方向性を考える大切な材料になります。
腰痛が続く時は「転院しないこと」より再評価することが大切
以前の記事では、
「数回で治療院を変えると次の治療方針が伝えられない」
という内容を書いていました。
確かに、
腰痛の経過を見るために
ある程度継続して状態を確認することが必要な場合があります。
しかし、
大切なのは同じ場所へ通い続けることそのものではありません。
症状が変化しない、
悪化している、
新しい症状が出ている場合には、
治療方針を見直したり、
医療機関へ再相談したりすることが重要です。
整形外科と鍼灸は対立するものではありません
整形外科では、
問診や身体診察を行い、
必要に応じて画像検査などを行います。
また、
薬物療法、運動療法、リハビリテーション、
注射など、
状態に応じた治療が選択されます。
すべての腰痛で、
最初からMRIなどの詳しい画像検査が必要とは限りません。
一方で、
経過や症状によっては追加検査が必要になることもあります。
鍼灸を受けている場合にも、
必要な時には医療機関で再評価を受けることが大切です。
このような腰痛は医療機関へ
- 脚の筋力低下が進んでいる
- 歩行状態が悪くなっている
- 排尿・排便がしにくい、または失禁がある
- 会陰部周囲の感覚がおかしい
- 発熱を伴う強い腰痛
- 転倒や事故後から強い痛みが続く
- 安静時・夜間にも強い痛みが続く
- がんなどの既往があり、新しい腰痛が出た
- 原因の分からない体重減少などを伴う
このような場合には、
鍼灸だけで様子をみず医療機関へ相談してください。
慢性腰痛の治療・施術は「評価しながら続ける」
慢性腰痛だからといって、
「最低○回は絶対に通わなければならない」
というものではありません。
一方、
一回の施術だけで長期的な結果を判断しにくい場合もあります。
重要なのは、
何を目的に施術をしているのか、
その結果どう変化しているのかを定期的に確認すること
です。
変化が乏しい場合には、
同じ施術を漫然と繰り返すのではなく、
施術方法を変更する、
セルフケアを見直す、
医療機関で再評価を受けるなどを考えます。
たかはし治療院で行う慢性腰痛への施術
当院では、
慢性腰痛という病名・症状名だけで
全員に同じ施術を行うことはありません。
症状の経過や医療機関での診断、
身体の動きなどを確認したうえで、
状態に応じて施術を組み合わせます。
- 腰痛が始まった時期
- 痛む場所と範囲
- 前屈・後屈など身体の動き
- 臀部・脚の痛みやしびれ
- 筋力低下の有無
- 歩行状態
- 医療機関での診断・検査内容
- 仕事や生活への影響
- 睡眠・疲労など現在の身体状態
YNSA(山元式新頭鍼療法)
YNSAは、
Yamamoto New Scalp Acupunctureの略で、
山元敏勝医師によって考案された頭皮への鍼療法です。
当院では、
身体に現れている反応を確認し、
必要に応じて頭皮の施術点を選択します。
腰痛の場合には、
可能な範囲で施術前後に
前屈・後屈、立ち上がり、歩行などを確認することがあります。
これは
「頭に鍼をして脳のプログラムを書き換える」
という意味ではなく、
身体の反応を確認しながら使用する鍼灸施術の一つ
として取り入れています。

YNSAでは身体の反応や動きを確認しながら、必要な頭皮の施術点を選択します(施術イメージ)
経絡治療
たかはし治療院では、
東洋医学の考え方に基づいた経絡治療も行っています。
脈や腹部などを確認し、
東洋医学的にその日の身体の状態を整理したうえで
使用する経絡や経穴を決めます。
東洋医学でいう
「経絡」「気」「血」などは、
現代医学の神経や血管そのものではありません。
東洋医学の体系の中で身体全体の状態を考えるための概念
として使用しています。
腰・臀部などへの鍼
腰や臀部などに圧痛や緊張がある場合には、
身体の状態に応じて局所への鍼を行うことがあります。
ただし、
強く刺激すればするほど
慢性腰痛が改善するというものではありません。
刺激への反応を確認しながら、
鍼の深さや刺激量を調整します。

腰の状態を確認し、必要に応じて腰・背部などへの鍼を組み合わせます(施術イメージ)
脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアなどがある場合
慢性腰痛の中には、
脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなど
医療機関で診断されている方もいます。
その場合には、
「脳の問題だから腰の病気は関係ない」
と考えるわけではありません。
画像所見、
脚への痛み・しびれ、
筋力、
歩行状態などを確認し、
必要な医療を受けながら施術を考えます。
鍼灸によって狭くなった脊柱管や
椎間板の構造そのものを元通りにすることを目的とした施術ではありません。
慢性腰痛ではセルフメンテナンスも大切
慢性腰痛では、
治療院で施術を受ける時間よりも
日常生活を送っている時間の方が圧倒的に長くなります。
そのため、
自分でできることを少しずつ増やしていくことも大切です。
長時間同じ姿勢を続けない
デスクワークや運転が多い方は、
完璧な姿勢を保ち続けることよりも
適度に姿勢を変えることを意識しましょう。
時々立ち上がる、
短時間歩くなど、
身体を動かす機会を作ることも一つの方法です。
痛みのない範囲で活動を続ける
腰痛があると、
「動いたらもっと悪くなるのでは」
と不安になることがあります。
症状によっては活動を制限すべき場合もありますが、
医療機関から特別な安静指示がない慢性腰痛では、
可能な範囲で日常活動を続けることも重要です。
短い散歩など、
自分が続けやすい活動から始めてみましょう。
睡眠や疲労も確認する
睡眠不足や強い疲労が続いている時に、
普段より痛みを強く感じる方もいます。
腰だけをメンテナンスするのではなく、
睡眠や休息も含めて
身体全体の状態を整えていきましょう。
慢性腰痛についてよくあるご質問
Q. 慢性腰痛は脳が痛みを覚えているのですか?
「痛みの記憶」という表現が使われることはありますが、
脳に痛みがそのまま記録されているという意味ではありません。
慢性痛の一部では、
痛みを感じたり調節したりする神経系の働きが
変化することがあると考えられています。
Q. MRIで大きな異常がなければ腰は悪くないのですか?
画像だけですべての腰痛を説明できるわけではありません。
画像所見だけでなく、
症状や身体診察などを合わせて判断することが大切です。
Q. YNSAで脳を正常にできますか?
YNSAによって脳を「正常化する」「プログラムを書き換える」
と一律に断定することはできません。
当院では身体の反応や動きを確認しながら使用する
鍼灸施術の一つとして取り入れています。
Q. 慢性腰痛は何回くらい通えばいいですか?
症状が続いている期間、
医療機関での診断、
脚の症状、
仕事や生活環境、
施術後の経過などによって異なります。
一律に「最低○回」と決めるのではなく、
経過を評価しながら相談します。
Q. 何回か鍼を受けても変化がありません。続けるべきですか?
変化が乏しい場合には、
同じ施術をただ続けるのではなく、
施術方針を見直したり、
必要に応じて医療機関で再評価を受けたりすることが大切です。
Q. 病院と鍼灸を併用できますか?
医療機関で治療中でも、
身体の状態に応じて鍼灸を併用することがあります。
診断内容や服用中の薬などを初回にお知らせください。
処方薬を自己判断で中止・変更する必要はありません。
まとめ|慢性腰痛は腰・神経系・生活を含めて考える
長期間続く慢性腰痛では、
腰の筋肉や骨だけでは症状を十分に説明できないことがあります。
慢性痛の一部では、
痛みを感じる神経系の働きの変化も
関係すると考えられています。
しかし、
それを「脳が痛みを記憶した」
「脳を正常化すればすべて治る」
と単純に考えることも適切ではありません。
腰の状態、
脚への症状、
身体活動、
睡眠、
疲労、
生活への影響などを含めて
一人ひとりの状態を考えることが大切です。
また、
治療を何回続けたかよりも、
「痛みや日常生活がどう変化しているのか」
を定期的に評価することが重要です。
たかはし治療院では、
YNSA・経絡治療・身体への鍼・
あん摩マッサージ指圧などを、
症状とその日の身体の状態に合わせて組み合わせています。
痛む場所だけでなく、
身体の動き、脚への症状、
医療機関での診断内容や日常生活への影響などを確認しながら、
その日の状態に合わせて施術を行います。
たかはし治療院
院長 高橋道明




