コラム
鍼灸とは?仕組み・経穴・効果・適応をわかりやすく解説|大磯・平塚
鍼灸・施術
鍼灸とは?
仕組み・経穴・効果・適応をわかりやすく解説
「鍼灸って、どんな治療なの?」
「ツボに鍼をすると、なぜ身体が変化するの?」
「肩こりや腰痛以外にも鍼灸を受ける人はいるの?」
「経絡や気という言葉がよく分からない」
初めて鍼灸を受ける方から、
このようなご質問をいただくことがあります。
鍼灸は、
長い歴史を持つ東アジア伝統医学の一つです。
一方で現在では、
伝統医学としての考え方だけでなく、
鍼刺激が神経系や筋肉、
痛みの感じ方などにどのように関係するのかについても
さまざまな研究が行われています。
この記事では、
鍼灸とは何か、経穴・経絡とは何か、
どのような症状で利用されているのか、
そして当院ではどのように鍼灸を行っているのか
を詳しくご紹介します。
Ⅰ 鍼灸の基礎知識
鍼灸では、身体の状態や施術部位に合わせて鍼や灸を使い分けます(施術イメージ)
① 鍼灸とは?
鍼灸は、
鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて
身体へ刺激を加える施術方法です。
中国をはじめとする東アジアで長い歴史を持ち、
日本でも独自の発展を続けてきました。
鍼では非常に細い鍼を身体の必要な部位へ使用し、
灸では艾(もぐさ)などを利用して
温熱刺激を加えます。
現代の日本では、
「はり師」「きゅう師」は国家資格です。
専門的な教育を受け、国家試験に合格した施術者が
鍼灸を行います。
② 鍼灸治療では何をする?
鍼灸では、
症状名だけを見て
すべての方に同じ場所へ鍼をするわけではありません。
例えば腰痛でも、
腰だけが痛む方、
お尻や脚までしびれる方、
長時間座っているとつらい方など
症状はさまざまです。
問診や身体の動き、
筋肉の状態などを確認し、
必要な場合には
医療機関での診断内容や検査結果も確認します。
東洋医学的な施術では、
脈診や腹診などを行い、
現在の身体の状態を施術を考える材料にします。
Ⅱ 経穴(ツボ)とは?
① 経穴の意味と役割
鍼灸でよく耳にする
「ツボ」は、
東洋医学では経穴(けいけつ)
と呼ばれています。
伝統的な東洋医学では、
身体には「経絡」があり、
その経絡上に経穴が存在すると考えてきました。
例えば、
手・足・頭部・背部など
全身に多くの経穴があります。
経絡や「気・血」は東洋医学独自の概念であり、
現代医学の神経や血管と
そのまま同じものではありません。
② 「この症状には、このツボ」とは限りません
「頭痛にはどのツボですか?」
「腰痛にはどこへ鍼をするのですか?」
と質問されることがあります。
特定の症状でよく使用される経穴はありますが、
実際の鍼灸では、
必ずしも症状名だけで使用するツボを決めません。
同じ頭痛でも、
痛む場所、
症状の出方、
首肩の状態などによって
施術内容は異なります。
当院では身体の状態を確認し、
必要な経穴や施術部位をその都度選択します。
Ⅲ 鍼灸の効果・作用はどのように考えられている?
① 痛みと鍼刺激
鍼刺激と痛みとの関係については、
長年さまざまな研究が行われています。
鍼による刺激が末梢神経から中枢神経系へ伝わり、
痛みの感じ方に関係する神経系へ
影響を与える可能性などが研究されています。
また、
筋肉へ鍼を行った場合には、
施術後に筋肉のつっぱりや動かしにくさが
変化する方もいます。
ただし、
鍼が神経を「正常化する」
「身体を本来の状態へ戻す」
と一律に説明できるわけではありません。
② 鍼刺激と血流
鍼刺激と局所の血流変化についても
研究されています。
刺激を行った周囲で
血流に変化がみられる場合があります。
一方で、
以前よく使われていた
「血行を良くして酸素や栄養を送り、
老廃物を流せば病気が治る」
という説明は単純すぎます。
鍼灸の作用をすべて
「血流改善」だけで説明することはできません。
Ⅳ 鍼灸と免疫について
① 鍼灸は「免疫力を上げる」?
鍼刺激と免疫系との関係についても、
基礎研究を含めさまざまな研究が行われています。
免疫細胞や炎症に関係する物質などへ
どのような影響があるのかが研究されています。
しかし、
「鍼をすれば免疫力が上がり、
感染症や病気にならなくなる」
と説明することはできません。
免疫機能は非常に複雑で、
単純に「高ければ高いほど健康」というものでもありません。
② 病気の予防を鍼灸だけに頼らない
健康維持には、
食事、睡眠、運動、
予防接種や必要な健康診断など
さまざまな要素があります。
鍼灸を受けているから
医療機関で必要な診療や予防を
行わなくてよいというものではありません。
Ⅴ 鍼灸治療の研究と取り組み
① 鍼灸についてさまざまな臨床研究が行われています
現在では、
鍼灸について国内外で
多くの臨床研究が行われています。
特に、
慢性腰痛、
首の痛み、
頭痛など
痛みに関する分野は比較的研究が多い領域です。
一方で、
鍼灸の効果は症状や疾患によって
研究の蓄積や確実性が異なります。
「鍼灸ならどんな病気にも効果がある」
というものではありません。
Ⅵ どのような症状で鍼灸を利用する人がいる?
鍼灸院には、
さまざまな身体のお悩みを持つ方が来院します。
- 肩こり・首こり
- 慢性的な腰痛
- 坐骨神経痛などに伴う痛み・しびれ
- 膝や肩などの関節周囲の痛み
- 頭痛
- めまいなどの身体的不調
- 耳鳴りなどのお悩み
- 睡眠についてのお悩み
- 脳梗塞後遺症などで身体のケアを希望される方
ただし、
症状名だけで「鍼灸の適応」と判断するのではなく、
まず医学的評価が必要な症状を見分けることが重要です。
急激な症状や進行する神経症状などがある場合には、
医療機関での評価を優先します。
Ⅶ 鍼灸と自律神経
① 鍼灸をすると自律神経が整う?
鍼刺激と自律神経活動との関係についても
研究されています。
刺激する部位や刺激量、
身体の状態によって
生理的な反応が異なることも考えられています。
ただし、
「鍼灸で交感神経と副交感神経のバランスが正常になる」
と一律に断定することはできません。
自律神経は心拍、血圧、
消化、体温などさまざまな機能に関係する
複雑な神経系です。
② 不眠・ストレス・疲労感などがある場合
不眠や疲労感、
めまい、
首肩こりなどが重なっている方もいます。
こうした症状を
「すべて自律神経の乱れが原因」
と決めつけることはできません。
当院では、
それぞれの症状や身体の状態を確認したうえで
施術を考えます。
Ⅷ その他に研究されている鍼灸の作用
① 局所の血流などへの影響
鍼刺激によって、
刺激部位周囲の血流が
変化することがあります。
ただし、
「老廃物を流す」
「血行を改善すれば炎症が治る」
という一つの仕組みだけで
鍼灸の作用を説明することはできません。
② リラックスしたように感じる方もいます
鍼灸を受けた後に、
「身体がゆるんだ感じがする」
「眠くなった」
「リラックスできた」
と感じる方もいます。
神経系や内因性の生理活性物質などとの関係も
研究されています。
ただし、
エンドルフィンやセロトニンが必ず増えるから
精神的に安定する、
と単純に説明できるものではありません。
Ⅸ リハビリテーション分野と鍼灸
① 脳梗塞後遺症などで鍼灸を希望される場合
脳梗塞後遺症などで、
医療機関でリハビリテーションを受けながら
鍼灸を希望される方もいます。
以前は、
「鍼刺激が神経を再生させる」
「脳を再生させて麻痺を治す」
という説明がみられることもありました。
しかし、
鍼灸によって損傷した脳を再生し、
麻痺を治すと断定することはできません。
脳卒中後の機能回復では、
医療機関で行われるリハビリテーションが
非常に重要です。
当院では、
病院での治療やリハビリを継続しながら、
身体のつらさや動きなどを確認し、
補完的な施術として鍼灸を行います。
② 症例報告について
当院では、
実際に施術を行った症例を
ホームページでご紹介しています。
症例では、
施術前の状態、
どのような施術を行ったか、
患者さんがどのような変化を感じたかなどを記録しています。
症例は一人の患者さんの経過であり、
同じ疾患・症状の方に
同じ結果を保証するものではありません。
Ⅹ 美容鍼灸とトリガーポイントへの鍼
① 美容鍼灸
鍼灸は身体の症状だけではなく、
美容を目的として利用されることもあります。
美容鍼では、
顔や頭部などへ細い鍼を使用します。
美容鍼と皮膚の状態、
局所の循環などとの関係について
研究されています。
ただし、
「鍼をすれば必ずコラーゲンが増え、
しわやたるみが改善する」
と一律に保証できるものではありません。
② トリガーポイントへの鍼
筋肉に関連する痛みでは、
筋肉の中にみられる
圧痛部位などを参考にして
鍼を行う方法があります。
トリガーポイントという考え方を用いて、
肩・首・腰などの筋肉へ
鍼を行う場合もあります。
ただし、
痛みの原因が必ずトリガーポイントにあるとは限らないため、
身体全体の状態を確認することが大切です。
たかはし治療院では「鍼だけ」にこだわりません
当院では、
症状名だけで一律に施術方法を決めるのではなく、
身体の状態に応じて
複数の方法を組み合わせています。
- 経絡治療
- 奇経治療
- 症状のある部位への鍼
- YNSA(山元式新頭鍼療法)
- 灸・温熱刺激
- あん摩マッサージ指圧
東洋医学的な身体の状態と、
症状や身体の動きなどを確認し、
その日の状態に合わせて施術を組み立てます。
「この病気にはこのツボ」
という一律の施術ではなく、
一人ひとりの状態を確認すること
を大切にしています。
鍼灸より先に医療機関を受診した方がよい場合もあります
鍼灸院にはさまざまな症状の方が来院しますが、
すべての症状を鍼灸だけで対応できるわけではありません。
- 突然起こった非常に強い頭痛
- 急な麻痺や筋力低下
- ろれつが回らない、意識がおかしい
- 突然の聞こえにくさ
- 強い胸痛・息苦しさ
- 高熱を伴う強い痛み
- 排尿・排便障害を伴う腰痛
- 症状が急速に悪化している
医療機関で治療中の場合も、
処方薬を鍼灸のために自己判断で
中止・変更しないでください。
鍼灸についてよくある質問
Q. 鍼灸は東洋医学ですか?
鍼灸は東アジア伝統医学の中で発展してきた治療法です。
現在では伝統的な経絡・経穴の考え方だけでなく、
神経系や痛みなどとの関係についても研究されています。
Q. 経絡は神経や血管ですか?
同じものではありません。
経絡・気・血は東洋医学独自の概念です。
現代医学の神経や血管へ
そのまま置き換えて説明することはできません。
Q. 鍼は痛いですか?
非常に細い鍼を使用しますが、
感じ方には個人差があります。
一瞬チクッと感じたり、
ズーンとした「響き」を感じたりする場合があります。
強い刺激を我慢する必要はありません。
Q. 鍼灸で免疫力は上がりますか?
鍼刺激と免疫系との関係について研究されていますが、
鍼をすれば免疫力が上がって
病気にならなくなると断定することはできません。
Q. 鍼灸で自律神経を正常にできますか?
鍼刺激と自律神経活動との関係は研究されていますが、
「交感神経と副交感神経を正常化する」と
一律には説明できません。
Q. 脳梗塞後の麻痺は鍼で治りますか?
鍼灸によって脳を再生し、
麻痺を治すとお約束することはできません。
脳卒中後は医療機関での治療と
リハビリテーションを基本とし、
希望される場合には補完的な方法として鍼灸を検討します。
Q. 病院に通いながら鍼灸を受けられますか?
受けられる場合があります。
診断内容や検査結果、
服用している薬などがあれば
初回にお知らせください。
必要な病院での治療は継続してください。
まとめ|鍼灸は身体の状態に合わせて行う施術です
鍼灸は、
東アジアで長い歴史を持つ
伝統的な治療法です。
経絡・経穴など
東洋医学独自の身体の捉え方がある一方、
現代では神経系や痛み、
局所の生理反応などとの関係についても
さまざまな研究が行われています。
大切なのは、
「鍼をすれば免疫力が上がる」
「自律神経が正常になる」
「神経が再生する」
と一つの作用だけで説明しないこと
です。
たかはし治療院では、
症状のある場所だけではなく、
身体の動きや現在の状態、
必要に応じて医療機関での診断内容も確認します。
そのうえで、
経絡治療・YNSA・局所への鍼・灸・
あん摩マッサージ指圧などを
身体の状態に応じて組み合わせています。
たかはし治療院
院長 高橋道明




