コラム
不眠症はなぜ起こる?眠れない原因・生活習慣と鍼灸・YNSA|大磯・平塚
鍼灸・施術
「布団に入ってもなかなか眠れない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「朝早く目が覚め、その後眠れない」
「眠ったはずなのに疲れが取れない」
このような睡眠のお悩みが続くと、
日中の眠気や疲労感、
集中力の低下などにつながり、
仕事や日常生活にも影響することがあります。
不眠というと、
「ストレスで自律神経が乱れているから」
と説明されることがあります。
確かにストレスや緊張が
睡眠に影響することはありますが、
眠れない原因をすべて自律神経の問題だけで
説明することはできません。
生活リズム、
心理的な負担、
身体の痛み、
睡眠時無呼吸、
むずむず脚症候群、
薬やカフェイン、
その他の病気などが
関係していることもあります。
この記事では、
不眠の種類と考えられる原因、
日常生活で見直したいこと、
医療機関へ相談した方がよい場合、
そして鍼灸・YNSA・経絡治療を取り入れる場合の考え方
について詳しく解説します。
不眠症とは?
一晩眠れなかったからといって、
すぐに不眠症というわけではありません。
誰でも、
仕事の忙しさ、
旅行、
心配事などによって
一時的に眠れない夜があります。
問題になるのは、
眠れない状態が繰り返され、
日中の眠気・疲労感・集中力低下など
生活への影響が続いている場合です。
長期間続く場合には、
単なる「寝不足」と考えず、
原因や背景を確認することが大切です。

不眠では「眠れない」という症状だけでなく、疲労・生活リズム・身体の状態なども確認します(イメージ)
不眠にはいくつかのタイプがあります
「不眠」といっても、
眠れ方にはいくつかのパターンがあります。
- 入眠困難:布団に入ってもなかなか眠れない
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒:予定よりかなり早く目が覚め、その後眠れない
- 熟眠感の低下:寝たはずなのに休んだ感じがしない
どのタイプなのか、
いつ頃から続いているのかによって
考えるべき背景も変わります。
不眠・眠れない原因は一つではありません
以前の記事では、
ストレスや生活リズム、
肩こりなどを主な原因として挙げていました。
これらが睡眠に影響することはありますが、
不眠にはさらに多くの原因や背景があります。
- 仕事や人間関係などのストレス
- 就寝・起床時間の大きな乱れ
- 夜間のスマートフォンやゲームなど
- カフェインやアルコール
- 肩・腰などの痛み
- 夜間頻尿
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群
- 更年期などに伴う症状
- 精神的な不調
- 服用している薬の影響
- その他の身体疾患
「眠れない=自律神経が乱れている」
と決めつけず、
その人ごとの原因を考えることが重要です。
ストレスと不眠
翌日に大切な予定がある時や、
仕事のことが気になっている時などに
眠れなくなった経験がある方は多いでしょう。
心配事や緊張が続いていると、
布団に入ってからも頭の中で考え続けてしまい、
眠りに入りにくくなることがあります。
ただし、
長期間続く不眠を
すべて「ストレスのせい」と判断しないことも大切です。
肩こり・腰痛などで眠れない場合
首肩や腰などに痛みがあることで
寝付けなかったり、
寝返りのたびに目が覚めたりする方もいます。
この場合には、
睡眠だけを考えるのではなく、
眠りを妨げている身体症状への対応
も必要になります。
不眠と自律神経はどのような関係がある?
睡眠中には、
自律神経の活動にも変化があります。
そのため、
不眠と自律神経との関係について
研究が行われています。
しかし、
「交感神経が強いから眠れない」
「副交感神経を優位にすれば眠れる」
という単純な仕組みではありません。
自律神経は、
睡眠だけではなく
心拍・血圧・消化・体温調節など
多くの機能に関係しています。
当院でも「自律神経を正常化する」というより、
睡眠とともに現在の身体の状態を確認する
という考え方をしています。
不眠で医療機関へ相談した方がよい場合
眠れない状態が長期間続いている場合には、
セルフケアだけで対応しない方がよいことがあります。
- 不眠が長期間続いている
- 日中の仕事や運転に支障が出るほど眠い
- 大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘された
- 脚がむずむずして眠れない
- 夜間の痛みや呼吸苦などで何度も目が覚める
- 気分の落ち込みや強い不安なども続いている
- 薬を飲み始めてから眠れなくなった
睡眠の問題には専門的な治療が必要な場合があります。
内科・精神科・心療内科・睡眠外来など、
症状に応じた医療機関へ相談してください。
睡眠薬を自己判断でやめないでください
鍼灸を受け始めたからといって、
処方されている睡眠薬を
自己判断で中止する必要はありません。
薬を減らしたい、
副作用が気になるという場合には、
必ず処方した医師へ相談してください。
睡眠のために日常生活で見直したいこと
眠れない時ほど、
「何とかして眠らなければ」
と焦ってしまうことがあります。
特別な健康法だけに頼るより、
まず基本的な生活習慣を確認してみましょう。
1.起きる時間をできるだけ一定にする
睡眠のリズムを整える時には、
寝る時間だけでなく
毎朝起きる時間も大切です。
休日も極端に起床時間を遅らせず、
できる範囲で一定のリズムを作っていきましょう。
2.朝に光を浴びる
朝の光は、
睡眠と覚醒のリズムを考えるうえで重要です。
朝起きたらカーテンを開ける、
可能であれば少し外へ出るなど、
生活の中に朝の光を取り入れましょう。
3.眠くないのに長時間布団に入らない
「眠れないから早く布団へ入ろう」
と考える方もいます。
しかし、
布団の中で何時間も眠れずに過ごすと、
「布団=眠れない場所」
という意識が強くなることがあります。
眠気を感じてから寝床へ入ることも
睡眠習慣を考える一つのポイントです。
4.スマートフォンは「ブルーライトだけ」の問題ではありません
以前の記事では、
ブルーライトによって睡眠ホルモンが抑えられるため
寝る前1時間はスマートフォンを使わない、
と説明していました。
夜間の強い光が睡眠リズムに影響することはあります。
ただし、
スマートフォンの問題は光だけではありません。
SNS、動画、ゲーム、仕事のメールなどで
気持ちが覚醒したままになることもあるため、
就寝前は少し静かに過ごす時間を作る
とよいでしょう。
5.カフェインを摂る時間を確認する
コーヒーだけでなく、
お茶、エナジードリンクなどにも
カフェインが含まれているものがあります。
眠れない方は、
午後から夜にかけての
カフェイン摂取量を確認してみましょう。
6.寝酒には注意する
アルコールを飲むと
眠くなると感じる方もいます。
しかし、
途中で目が覚めやすくなるなど、
睡眠の質へ影響する場合があります。
眠るためにお酒を飲む習慣には注意しましょう。
7.入浴でリラックスする
入浴は、
一日の緊張をほぐす時間として取り入れることができます。
熱すぎるお湯を我慢する必要はなく、
自分が心地よく感じる温度で
無理のない範囲で利用しましょう。
不眠のお悩みに対して鍼灸でできること
眠りにくさや疲労感などをきっかけに、
鍼灸を希望される方もいます。
鍼灸と睡眠については
さまざまな研究が行われていますが、
研究方法や対象となる不眠の状態も異なります。
そのため、
「鍼灸は不眠症に必ず効く」
「自律神経を正常化すれば眠れる」
と断定することはできません。
必要な医療を受けながら、
身体の緊張や痛み、
疲労なども含めた
補助的なケアの一つとして
鍼灸を取り入れる場合があります。

不眠だけでなく、疲労や首肩の状態なども確認しながら施術を考えます(施術イメージ)
「副交感神経を優位にするための鍼」とは考えません
鍼灸の説明では、
「副交感神経を優位にする」
「交感神経を抑える」
という表現を見かけることがあります。
鍼刺激と自律神経系の反応について研究はありますが、
施術によって交感神経と副交感神経を
思い通りに切り替えるというものではありません。
当院では、
自律神経を数値的に正常化する施術ではなく、
患者さんの現在のお悩みと身体の状態に合わせて
鍼灸を行うという考え方です。
YNSA頭皮鍼を不眠のお悩みに使用する場合
YNSAは、
Yamamoto New Scalp Acupunctureの略で、
山元敏勝医師によって考案された頭皮への鍼療法です。
当院では、
不眠や疲労感などのお悩みがある場合にも、
身体の状態に応じて
YNSAを使用することがあります。
身体に現れている反応を確認しながら
使用する頭皮の施術点を選択します。

身体の状態によってはYNSAによる頭部への鍼施術を組み合わせます(施術イメージ)
YNSAが脳へ直接作用してメラトニンを増やすとは言えません
以前の記事では、
YNSAによって脳へ直接働きかけ、
睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を促す
という説明をしていました。
しかし、
頭皮へ鍼をすることで脳を直接治療したり、
メラトニン分泌を増やしたりすることが
確立しているわけではありません。
YNSAは当院で行っている
鍼灸施術の一つとして、
身体の状態に応じて選択しています。
経絡治療と不眠
たかはし治療院では、
東洋医学の考え方に基づく
経絡治療も行っています。
東洋医学では、
「気」「血」「経絡」などの概念を用いて
身体の状態を考えます。
不眠の場合にも、
眠れないという症状だけで
使用する経穴を決めるのではありません。
脈や腹部などを確認し、
その日の身体の状態を東洋医学的に整理したうえで
施術する経絡や経穴を選びます。
神門・百会・三陰交を使えば眠れる?
神門、百会、三陰交などは、
不眠のお悩みに対する鍼灸で
紹介されることが多い経穴です。
しかし、
「不眠にはこの3つのツボ」
という固定した施術ではありません。
同じ眠れないという症状でも
身体の状態は一人ひとり異なるため、
使用する経穴も変わります。
経絡は解剖学的な「エネルギーの通り道」ではありません
経絡・気・血は、
東洋医学で身体の状態を考えるために
用いられてきた伝統的な概念です。
現代医学の神経・血管・エネルギーの通り道と
そのまま同じものではありません。
たかはし治療院で不眠のお悩みをみる時に確認すること
当院では、
「不眠だから自律神経を整える」
と最初から決めて施術を行うわけではありません。
まず現在の睡眠について詳しくお伺いします。
- いつ頃から眠れないのか
- 寝付きにくいのか
- 途中で目が覚めるのか
- 朝早く目覚めるのか
- 何時頃寝て何時頃起きるのか
- 日中の眠気や疲労感があるか
- 首肩こり・腰痛など身体の症状があるか
- カフェイン・アルコールの摂取
- いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されていないか
- 服用している薬
- 医療機関での診断・治療内容
必要な医療機関での評価が優先と考えられる場合には、
受診をおすすめします。
身体の状態に合わせて施術を組み合わせます
鍼灸を行う場合には、
その日の身体の状態に合わせて
施術方法を選びます。
- 経絡治療
- YNSA(山元式新頭鍼療法)
- 身体の状態に応じた手足への鍼
- 首肩などへの鍼
- あん摩マッサージ指圧
すべての方に同じ内容を行うわけではありません。
不眠の経過は「何時間眠れたか」だけで判断しません
睡眠時間は分かりやすい指標ですが、
それだけを気にしすぎると
かえって眠ることへの不安が強くなる場合があります。
経過を見る時には、
次のような変化も確認します。
- 寝付きにかかる時間が変わったか
- 夜中に目覚める回数が変わったか
- 目覚めた後に再び眠れるようになったか
- 朝の疲労感が変化したか
- 日中の眠気が変化したか
- 睡眠を以前ほど気にしなくなったか
- 身体の痛みや緊張が変化したか
「一晩よく眠れた」ことだけで
不眠症そのものが治ったとは判断せず、
その後の経過を確認することが大切です。
不眠と鍼灸についてよくあるご質問
Q. 不眠は自律神経の乱れが原因ですか?
自律神経と睡眠には関係がありますが、
不眠を自律神経だけで説明することはできません。
生活リズム、ストレス、身体疾患、
睡眠時無呼吸、薬などさまざまな要素が関係します。
Q. 鍼灸で不眠症は治りますか?
不眠のお悩みに鍼灸を利用する方はいますが、
すべての方の不眠が治ると保証することはできません。
必要な医学的評価を受けながら、
補助的なケアとして取り入れる場合があります。
Q. YNSAをすると脳がリラックスして眠れますか?
YNSAを不眠のお悩みに使用する場合はありますが、
頭皮への鍼によって脳を直接リラックスさせたり、
メラトニンを増やしたりすることが
確立しているわけではありません。
Q. 睡眠薬を飲んでいても鍼灸を受けられますか?
服薬内容や現在の状態を確認したうえで
鍼灸を行う場合があります。
鍼灸を始めたことを理由に
睡眠薬を自己判断で中止・減量しないでください。
Q. 神門・百会・三陰交を自分で押せば眠れますか?
これらは不眠のセルフケアとして紹介されることがありますが、
押せば必ず眠れるというものではありません。
強く押す必要もありません。
リラックスするための一つの方法として考えてください。
Q. 何回くらい鍼灸を受ければ眠れるようになりますか?
不眠の原因、
症状が続いている期間、
生活環境、
医療機関での治療などによって異なります。
最初から一律の回数を決めるのではなく、
経過を確認しながら相談します。
Q. 夜眠れない時は、昼寝をしない方がいいですか?
長時間や遅い時間帯の昼寝が
夜の睡眠に影響する場合があります。
一方で、日中の眠気が非常に強い場合には
原因の確認も必要です。
睡眠の状態に合わせて考えましょう。
まとめ|不眠は「自律神経」だけで考えない
不眠には、
寝付きにくい、
夜中に何度も目が覚める、
朝早く目覚めるなど
さまざまなタイプがあります。
その原因も、
ストレス、
生活リズム、
身体の痛み、
睡眠時無呼吸、
薬などさまざまです。
そのため、
「自律神経を整えれば眠れる」
「副交感神経を優位にすれば不眠症が治る」
という一つの説明だけで考えることはできません。
まずは、
起床時間、
朝の光、
カフェイン、
アルコール、
就寝前の過ごし方など
毎日の睡眠習慣を見直すことも大切です。
長期間続く場合や、
日中生活への影響が大きい場合には
医療機関への相談も検討してください。
鍼灸については、
不眠症を根本から治す、
自律神経を正常化する、
YNSAでメラトニンを増やすという施術ではありません。
たかはし治療院では、
睡眠のお悩みとともに身体の状態を確認し、
必要に応じて
経絡治療・YNSA・身体への鍼・
あん摩マッサージ指圧などを組み合わせています。
睡眠だけを見るのではなく、
生活リズム、疲労、首肩など身体の状態、
医療機関での診断内容なども確認しながら、
その日の身体に合わせて施術を行います。
たかはし治療院
院長 高橋道明




