コラム
脳梗塞後遺症とは?麻痺・しびれ・歩行障害とリハビリ・鍼灸・YNSA|大磯・平塚
YNSA脳梗塞後遺症鍼灸・施術
「脳梗塞の後、片側の手足が動かしにくい」
「歩けるようにはなったけれど、足がうまく前に出ない」
「手のしびれやこわばりが残っている」
「退院後もリハビリを続けているが、鍼灸も受けてみたい」
脳梗塞を発症した後には、
麻痺・しびれ・歩行障害・言語障害など、
さまざまな後遺症が残ることがあります。
後遺症の程度は、
脳梗塞が起きた場所や範囲、
発症時の状態、
治療開始までの時間、
その後のリハビリテーションなどによって大きく異なります。
脳梗塞後の機能回復で中心となるのは、
医療機関での治療とリハビリテーションです。
そのうえで、
身体の痛み・こわばり・動かしにくさなどのお悩みに対して、
鍼灸を補完的に利用する方もいます。
この記事では、
脳梗塞後に起こる主な後遺症、
回復とリハビリテーションの考え方、
鍼灸やYNSA(山元式新頭鍼療法)を取り入れる場合に
どのように考えればよいのか
について詳しく解説します。
脳梗塞後遺症とは?
脳梗塞は、
脳へ血液を送る血管が詰まり、
その先の脳組織が障害される病気です。
脳のどの部分が障害されたかによって、
発症後に現れる症状は異なります。
急性期の治療後も症状が残ることがあり、
これらを一般に「脳梗塞後遺症」と呼びます。
後遺症は運動機能だけではなく、
感覚・言葉・飲み込み・認知機能・注意力・気分など、
多くの機能に現れる可能性があります。

発症時の状態や現在行っているリハビリ、日常生活で困っている動作などを確認します
脳梗塞後にみられる主な後遺症
脳梗塞後の症状は一人ひとり異なります。
代表的なものには次のような症状があります。
- 片側の手足が動かしにくい・麻痺
- 手足のしびれ・感覚の低下
- 筋肉のこわばり・痙縮
- 歩行障害・バランスの問題
- 言葉が出にくい・理解しにくいなどの失語
- 発音しにくいなどの構音障害
- 飲み込みにくい嚥下障害
- 視野の障害
- 注意・記憶など認知機能の変化
- 半側空間無視などの高次脳機能障害
- 疲労感
- 気分の落ち込みや不安
「脳梗塞後遺症」という一つの症状があるわけではありません。
現在どの機能が障害され、
日常生活のどの動作で困っているのかを
具体的に確認することが大切です。
片麻痺・手足の動かしにくさ
脳の運動に関係する領域などが障害されると、
身体の左右どちらか一方に
麻痺が現れる場合があります。
腕が上がりにくい、
手指を細かく動かしにくい、
足が前へ出にくいなど、
症状の程度は人によって異なります。
筋力だけではなく、
身体の動かし方や感覚なども関係するため、
リハビリでは個々の状態に合わせた練習が行われます。
しびれ・感覚障害
脳梗塞後に、
「手足がジンジンする」
「触った感覚が以前と違う」
「熱い・冷たいが分かりにくい」
などの感覚障害が残ることがあります。
感覚が低下している場合には、
やけどやけがなどに気付きにくくなることもあるため注意が必要です。
筋肉のこわばり・痙縮
脳梗塞後には、
麻痺した手足の筋肉が
強く緊張して動かしにくくなる場合があります。
痙縮が強い場合には、
リハビリテーションに加えて
薬物療法などが検討されることもあります。
失語症・構音障害
脳梗塞によって、
言葉を話す・理解する機能に
障害が残ることがあります。
発語や言語理解の問題については、
言語聴覚士によるリハビリテーションなどが重要になります。
嚥下障害
食べ物や飲み物を
うまく飲み込めなくなる場合があります。
むせ込みが多い、
食事中に咳が出る、
食事に時間がかかるなどがある場合には、
誤嚥などの問題もあるため医療機関での評価が重要です。
脳梗塞後の回復はどのように進む?
以前の記事では、
「脳の神経細胞は再生しにくく、
他の部分が代わりをすることで回復する」
と説明していました。
これは大まかな説明としては理解しやすいのですが、
実際の回復過程はもっと複雑です。
発症後には、
急性期の治療による変化や、
脳・神経系の機能的な再編成、
繰り返し行う動作練習など、
さまざまな要素が回復に関係します。
このような神経系の適応・再編成は
「神経可塑性」と呼ばれることがあります。
「一定期間を過ぎたら、もう変化しない」とも限りません
一般に発症後の早い時期は
機能回復が大きくみられることがあります。
一方で、
慢性期になったからといって
すべての変化が止まるわけではありません。
状態に応じて練習を続けることで、
動作の工夫や身体機能、日常生活でできることが
変化する可能性はあります。
脳梗塞後遺症ではリハビリテーションが重要です
脳梗塞後の機能回復では、
リハビリテーションが重要な役割を持ちます。
症状に応じて、
次のような専門職が関わることがあります。
- 理学療法:立つ・歩く・バランスなど
- 作業療法:手の動き・着替え・食事など日常生活動作
- 言語聴覚療法:言葉・発音・飲み込みなど
鍼灸を利用する場合にも、
リハビリをやめて鍼灸へ置き換えるのではなく、
現在行っているリハビリと併用する
という考え方が基本です。
主治医やリハビリスタッフから
運動や生活上の注意を指示されている場合には、
その内容を優先してください。
脳梗塞後遺症に鍼灸は役立つ?
脳卒中後のリハビリテーションに
鍼灸を組み合わせることについては、
国内外でさまざまな研究が行われています。
運動機能、
痙縮、
痛みなどを対象とした研究もありますが、
研究方法や対象となる患者さんには違いがあり、
結果も一様ではありません。
そのため、
「脳梗塞後遺症には鍼灸が効く」
「鍼灸をすれば麻痺が回復する」
とすべての方について断定することはできません。

麻痺側だけにこだわらず、身体の状態や動作を確認しながら施術内容を考えます(施術イメージ)
鍼灸で脳梗塞そのものを治すわけではありません
脳梗塞によって障害された脳組織を、
鍼によって元通りにすることはできません。
また、
鍼によって詰まった脳血管を開通させたり、
再発を防いだりするものでもありません。
再発予防のための血圧・糖尿病・脂質異常症などの管理や、
抗血小板薬・抗凝固薬などの治療は非常に重要です。
服薬中でも鍼灸を受けられる?
脳梗塞後には、
抗血小板薬や抗凝固薬などを
服用している方もいます。
服薬中でも身体の状態を確認して
鍼灸を行う場合はありますが、
出血や皮下出血には注意が必要です。
薬を自己判断で中止・減量しないでください。
現在服用している薬は施術前にお知らせください。
YNSA(山元式新頭鍼療法)とは?
YNSAは
Yamamoto New Scalp Acupunctureの略で、
山元敏勝医師によって考案された頭皮への鍼療法です。
頭皮の施術点へ鍼を行い、
身体の状態や反応を確認しながら
施術点を選択していく方法です。
当院では、
脳梗塞後の麻痺や動かしにくさなどのお悩みに対しても、
身体の状態に応じてYNSAを使用することがあります。

YNSAでは身体の状態を確認しながら頭皮の施術点を選択します(施術イメージ)
YNSAは「脳を直接治療する鍼」ではありません
以前の記事では、
「頭皮へ鍼をすることで脳に直接刺激を与える」
「脳の神経機能を活性化する」
という説明をしていました。
しかし、
頭皮へ刺した鍼が脳組織へ直接届き、
脳細胞や神経回路を直接治療するわけではありません。
また、
YNSAによって神経が再生する、
脳の障害そのものが修復されると
断定することもできません。
施術直後に動きが変わる場合
YNSAの施術前後で、
腕や脚の動き、
歩行などを確認することがあります。
患者さん自身が
「少し動かしやすい」
「脚が出しやすく感じる」
と話されることもあります。
ただし、
その場で動きが変化したことと、
脳梗塞による障害が回復したことは同じではありません。
その後の日常生活やリハビリでの変化も確認する必要があります。
経絡治療を組み合わせる場合
当院では、
身体の状態に応じて
東洋医学の考え方に基づく経絡治療も行います。
脈や腹部などを確認し、
その日の身体の状態を東洋医学的に整理したうえで、
使用する経絡や経穴を選択します。
ただし、
東洋医学でいう「気・血・経絡」は、
現代医学の脳神経や血管そのものを意味するものではありません。
脳血流を回復させたり、
脳梗塞を治療したりすることを目的とした施術ではありません。
たかはし治療院で脳梗塞後遺症のご相談を受ける時に確認すること
脳梗塞後の症状では、
単に「麻痺があります」という情報だけでは
施術内容を決めることができません。
まず現在の状態を詳しく確認します。
- いつ脳梗塞を発症したか
- どのような治療を受けたか
- 現在残っている症状
- 麻痺・しびれの場所と程度
- 立つ・歩くことができるか
- 手指をどの程度動かせるか
- 痙縮・こわばりがあるか
- 言語・嚥下の障害があるか
- 現在行っているリハビリテーション
- 血圧・糖尿病などの既往
- 服用している薬
- 主治医から受けている注意事項
医療機関での治療やリハビリを継続しながら、
その中で鍼灸を併用できるか
という視点で施術を考えます。
身体の状態に応じて施術を組み合わせます
状態によって、
次のような施術を組み合わせる場合があります。
- YNSA(山元式新頭鍼療法)
- 身体への鍼灸
- 東洋医学的な状態を確認して行う経絡治療
- あん摩マッサージ指圧
麻痺が強いほど刺激を強くする、
深く鍼を刺すという施術ではありません。
身体の状態や刺激への反応に応じて調整します。
施術前後では「麻痺が治ったか」だけを見ません
脳梗塞後遺症では、
日常生活でどのようなことができるかを
確認することが大切です。
- 立ち上がりやすさに変化があるか
- 歩きやすさが変化したか
- 歩ける距離が変化したか
- 腕を動かせる範囲が変化したか
- 手指を使う動作に変化があるか
- 身体のこわばりが変化したか
- 痛み・しびれの感じ方が変化したか
- 着替えや食事など日常生活の動作が変化したか
一回の施術で変化を感じたとしても、
それを脳機能の回復と判断することはありません。
その後のリハビリや日常生活も含めて経過をみます。
脳梗塞後遺症の症例を見る時の注意
脳梗塞後遺症について、
鍼灸施術後に
「足が少し出しやすく感じた」
「身体のこわばりが以前より楽」
「歩きやすく感じる日がある」
などと話される方もいます。
一方で、
ほとんど変化を感じない場合もあります。
脳梗塞の障害部位や重症度は一人ひとり異なるため、
一つの症例と同じ結果が得られるわけではありません。
最重要|新しい麻痺・しびれが出たら「後遺症」と決めつけない
脳梗塞の既往がある方で特に注意していただきたいのが、
新しく出た神経症状です。
- 顔の片側が下がる・ゆがむ
- 片側の腕や脚に急に力が入らない
- 新しいしびれが突然出た
- ろれつが回らない
- 言葉が出ない・理解しにくい
- 突然ものが見えにくくなった
- 急に強くふらつき、歩けない
- これまでにない強い頭痛が突然起きた
これらは脳卒中の再発などの可能性があるため、
鍼灸の予約日まで待たず、救急要請を含めて速やかに医療機関へつなげること
が重要です。
「昔の脳梗塞の後遺症が悪くなっただけだろう」
と自己判断しないでください。
脳梗塞後に日常生活で大切なこと
脳梗塞後は、
鍼灸だけに頼るのではなく、
再発予防とリハビリテーションを続けることが重要です。
- 処方された薬を指示どおり使用する
- 血圧・血糖などを必要に応じて管理する
- 主治医やリハビリスタッフの指導を継続する
- 無理のない範囲で身体活動を続ける
- 転倒しやすい場合は生活環境を整える
- 食事や嚥下について指導がある場合は守る
- 新しい神経症状が出た場合は速やかに受診する
自己流で急に運動量を増やすのではなく、
身体の状態に合わせて進めましょう。
脳梗塞後遺症と鍼灸・YNSAについてよくあるご質問
Q. 脳梗塞後の麻痺は鍼灸で治りますか?
鍼灸によって麻痺が治ると保証することはできません。
脳梗塞後の機能回復では
医療機関での治療とリハビリテーションが中心です。
身体の状態に応じて鍼灸を補完的に取り入れる場合があります。
Q. YNSAは脳を直接刺激する治療ですか?
いいえ。
鍼は頭皮へ行うもので、
脳へ直接刺す施術ではありません。
YNSAによって脳組織や神経を直接修復するとも言えません。
Q. 発症から何年も経っていますが、鍼灸を受ける意味はありますか?
慢性期でも身体の痛み・こわばり・動かしにくさなどを理由に
鍼灸を希望される方はいます。
ただし、発症からの期間だけで効果を予測することはできません。
現在の身体機能と目標を確認して施術の適否を考えます。
Q. リハビリとYNSAは一緒に行えますか?
現在の身体状態や主治医からの指示を確認したうえで、
リハビリテーションを継続しながら
YNSAや身体への鍼を利用する場合があります。
鍼灸はリハビリの代わりではありません。
Q. 何回受ければ手足が動くようになりますか?
回数を一律に提示することはできません。
脳梗塞の部位・程度、
発症からの期間、
現在の身体機能などによって大きく異なります。
施術を行う場合には経過を確認しながら相談します。
Q. 血液をサラサラにする薬を飲んでいますが、鍼はできますか?
服用している薬と身体の状態を確認したうえで
鍼灸を行う場合があります。
抗血小板薬・抗凝固薬などを使用している場合には、
出血や皮下出血に注意して施術します。
薬を自己判断で中止する必要はありません。
Q. 脳梗塞後のしびれにも鍼灸をしますか?
しびれのお悩みに鍼灸を利用する場合はあります。
ただし感覚障害の程度や分布を確認し、
新しく出た症状ではないか、
他の原因が考えられないかなども確認します。
Q. 新しく片手がしびれてきました。鍼をしてもらえますか?
脳梗塞の既往があり、
突然新しいしびれや筋力低下が現れた場合には、
鍼灸より先に医療機関での評価が必要です。
再発などを除外してから施術を検討します。
まとめ|脳梗塞後遺症ではリハビリを中心に、鍼灸を補完的に考える
脳梗塞後には、
麻痺、
しびれ、
痙縮、
歩行障害、
失語、
嚥下障害など
さまざまな後遺症が残ることがあります。
後遺症の内容や程度は
一人ひとり大きく異なります。
機能回復の中心となるのは、
医療機関での継続的な管理と
理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの
リハビリテーションです。
鍼灸やYNSAについては、
脳梗塞そのものを治す、
脳細胞を再生する、
神経を直接活性化する、
麻痺を短期間で回復させる施術ではありません。
一方、
身体のこわばりや痛み、
動かしにくさなどのお悩みに対して、
現在行っているリハビリテーションを続けながら
補完的な施術として鍼灸を取り入れる
という方法があります。
たかはし治療院では、
脳梗塞の発症時期、
現在の後遺症、
リハビリ内容、
服薬などを確認したうえで、
必要に応じて
YNSA・身体への鍼・経絡治療・
あん摩マッサージ指圧などを組み合わせています。
現在行っている医療・リハビリを大切にしながら、
発症からの経過、身体の動き、麻痺やしびれの状態などを確認し、
鍼灸を併用できるかを考えます。
たかはし治療院
院長 高橋道明




