歩くと股関節が痛いのはなぜ?原因・受診の目安と鍼灸での考え方

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コラム

股関節の痛み・歩きにくさに対する鍼灸|YNSAと経絡治療の考え方

股関節痛・歩行時痛・鍼灸
歩くと股関節が痛い。
この痛みはどこから来ている?

股関節周辺の痛みには、変形性股関節症をはじめ、 筋肉・腱など股関節周囲の問題、腰からの関連痛、 大腿骨頭壊死症、骨折などさまざまな原因があります。
「歩くと痛い=筋肉が硬い」「血流が悪い」と一つの原因に決めず、 痛む場所や歩行状態、医療機関での診断などを確認することが大切です。

執筆・監修: たかはし治療院 院長 高橋道明
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
最終更新:2026年10月

「歩き始めると脚の付け根が痛い」

「長く歩くと股関節がつらくなってくる」

「靴下を履く時に股関節が動かしにくい」

「股関節の痛みに鍼灸は利用できるの?」

股関節は、立つ・歩く・階段を上る・椅子から立ち上がるなど、 日常生活の多くの動作に関係する大きな関節です。

そのため痛みが続くと、 「歩く距離が短くなった」 「買い物へ行くのがおっくうになった」 「階段を避けるようになった」 など、生活そのものへ影響することがあります。

代表的な病気の一つが変形性股関節症です。 日本整形外科学会では、初期には立ち上がりや歩き始めに鼠径部(脚の付け根)が痛み、 進行すると持続痛や夜間痛がみられる場合があると説明しています。[1]

しかし、股関節周辺が痛むからといって、 必ず股関節そのものに原因があるとは限りません。 腰椎からの関連痛などによって、臀部や大腿部に痛みを感じる場合もあります。

股関節痛では「どこが痛いか」だけでなく、 いつから、どの動作で、どのくらい歩くと痛むのか、 動かしにくさや脚の症状がないかを確認することが重要です。

この記事では、 股関節痛の主な原因、変形性股関節症の特徴、医療機関を優先したい症状、運動療法、鍼灸について現在の研究で分かっていること、経絡治療・YNSA、当院での施術、日常生活での工夫 について詳しく解説します。

股関節痛は「脚の付け根」だけに出るとは限りません

股関節は身体の深い位置にあるため、 患者さんが感じる痛みの場所には幅があります。

股関節周辺で痛みを感じる場所
  • 鼠径部(脚の付け根)
  • 股関節の前側
  • 股関節の外側
  • 臀部
  • 太ももの前側・外側
  • 場合によっては膝周辺

変形性股関節症では、 特に鼠径部・脚の付け根の痛みが代表的です。

一方で、臀部や大腿部の痛みには腰椎疾患などが関係することもあるため、 「痛い場所=原因の場所」とは限りません。

股関節が痛む主な原因

股関節周辺の痛みにはさまざまな原因があります。

「加齢だから仕方がない」 「運動不足だから」 と自己判断せず、 症状によっては整形外科で原因を確認することが大切です。

変形性股関節症

代表的な股関節疾患です。 関節軟骨の変性や摩耗だけではなく、 関節周囲の骨や滑膜、関節包などにも変化が起こります。

日本整形外科学会によると、 初期には立ち上がりや歩き始めに脚の付け根が痛み、 進行すると長時間の立位・歩行、階段、 靴下を履く動作や爪切りなどが難しくなる場合があります。[1]

日本では、特に女性の変形性股関節症で 発育性股関節形成不全や臼蓋形成不全との関連が知られています。

大腿骨頭壊死症

大腿骨頭への血流障害によって骨組織が壊死し、 骨頭が圧潰すると痛みが現れる病気です。

変形性股関節症と比べて比較的急に股関節痛や跛行が現れる場合があり、 日本整形外科学会も両者の違いについて説明しています。[2]

大腿骨頚部骨折など外傷

転倒した後から脚の付け根が強く痛み、 立てない、体重をかけられないといった場合には、 骨折の可能性があります。

特に骨粗鬆症のある高齢者では注意が必要です。 大腿骨頚部骨折では、股関節部の痛みとともに、 立位や歩行が困難になることが多いとされています。[3]

股関節周囲の筋肉・腱など

股関節周囲には多くの筋肉や腱があります。 運動や仕事による負担などに伴い、 股関節の外側・前側・鼠径部周辺に痛みを感じる場合もあります。

股関節唇損傷・FAIなど

スポーツや股関節の骨形態などと関係して、 股関節唇損傷や大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)などが 鼠径部痛の原因となる場合もあります。

腰からの関連痛・神経症状

臀部や大腿部が痛む場合、 股関節ではなく腰椎の状態が関係していることがあります。

腰痛、脚へのしびれ、姿勢による症状の変化などがある場合には、 腰から来ている症状についても確認します。

股関節痛の施術前に立位や歩行など身体の状態を確認している様子

痛む場所だけではなく、立ち上がり・歩行など日常動作での状態も確認します(施術イメージ)

「歩くと股関節が痛い」時に確認したいこと

歩行時に痛むといっても、 症状の出方は人によって異なります。

確認したいポイント
  • 歩き始めから痛いのか
  • ある程度歩いてから痛くなるのか
  • 鼠径部・外側・臀部のどこが痛いのか
  • 階段で痛みが変化するか
  • 靴下を履く動作が難しくなっていないか
  • 車への乗り降りがつらいか
  • 脚を引きずるようになっていないか
  • 杖や手すりが必要になってきていないか
  • 夜間にも痛みがあるか
  • 腰痛・脚のしびれを伴っていないか

変形性股関節症では、 歩き始めの痛みから始まり、 進行すると長い距離を歩くこと自体が難しくなる場合があります。[1]

「歩けば関節がすり減るから、できるだけ歩かない方がいい」 と自己判断するのも適切とは限りません。 原因・病期・現在の身体機能に合わせて、 活動量や運動内容を考えることが大切です。

鍼灸より先に整形外科を優先したい股関節痛

股関節の痛みには、 まず原因を確認した方がよいものがあります。

このような場合には医療機関へ
  • 転倒や事故の後から強い股関節痛がある
  • 股関節が痛く、体重をかけられない・歩けない
  • 突然強い股関節痛が始まった
  • 比較的急に痛みと跛行が出てきた
  • 股関節周辺が熱を持ち、腫れている
  • 発熱や強い体調不良を伴う
  • 安静にしていても強く痛む
  • 夜間痛が強くなっている
  • 脚の筋力低下や強いしびれがある
  • 日に日に歩きにくくなっている

特に転倒後に強く痛み、 立てない・歩けない場合には大腿骨頚部骨折などを考える必要があります。[3]

また、比較的急に股関節痛と跛行が出てきた場合には、 大腿骨頭壊死症などについて整形外科での評価が必要になることがあります。[2]

変形性股関節症では「動かさない」より適切な運動が重要

股関節痛があると、 「痛むのだから動かさない方がよいのでは?」 と思う方もいます。

しかし、変形性関節症の保存的な対応では、 その方に合わせた運動は重要な位置づけにあります。

NICEの変形性関節症ガイドラインでも、 筋力強化や有酸素運動など、その人に合わせた運動療法を基本的な治療として提供する ことが推奨されています。[4]

変形性股関節症で考える主な対応
  • 症状や身体機能についての説明
  • その方に合わせた運動
  • 筋力・持久力を維持する身体活動
  • 必要に応じた体重管理
  • 鎮痛薬など医学的な治療
  • 必要に応じた歩行補助具
  • 症状が強い場合の専門医での評価
  • 保存療法で生活への強い支障が続く場合には手術の検討

運動を始めた直後に多少の違和感を感じる場合はありますが、 だからといってすべての運動を中止する必要があるとは限りません。

一方、どの運動でもよいわけではないため、 現在の股関節の状態に応じた内容・負荷で行うことが大切です。

股関節の痛みに対する鍼灸|研究ではどこまで分かっている?

股関節痛に対する鍼灸についても臨床研究が行われています。

2023年のシステマティックレビューでは、 股関節痛を対象とした12件のランダム化比較試験、 合計806人が検討されました。[5]

一部の研究では痛みなどに有利な結果が報告されましたが、 研究数・参加人数が少なく、 研究方法にも問題があるため、 研究者は 股関節痛に対する鍼治療を支持するエビデンスは弱い と結論づけています。[5]

「股関節痛には鍼灸が効果的であることが証明されている」 「鍼で変形した股関節が元に戻る」 「股関節痛を根本から治せる」 と説明できる研究状況ではありません。

鍼灸を利用する場合にも、 診断が必要な症状を見逃さず、 運動や医学的治療などを含む全体の治療計画の中で考えることが大切です。

変形性股関節症への鍼灸は、ガイドラインによって評価が異なります

変形性関節症に対する鍼灸の評価は、 海外の診療ガイドラインでも完全には一致していません。

米国リウマチ学会・Arthritis Foundationのガイドラインでは、 股関節を含む変形性関節症への鍼灸を 条件付きで推奨しています。[6]

一方、英国NICEのガイドラインでは、 変形性関節症の管理目的に 鍼治療・ドライニードリングを提供しない よう勧告しています。[4]

この違いは、 鍼灸研究における偽鍼との比較、 研究規模、研究結果のばらつき、 臨床効果や費用対効果をどのように評価するかなどが関係しています。

つまり、股関節痛への鍼灸には「全く研究がない」わけではありませんが、 医学的に評価が確定している治療とも言えません。

当院では、 このような研究上の限界も踏まえたうえで、 鍼灸を選択肢の一つとして考えています。

股関節痛に対して身体の状態に応じた鍼灸施術を行っている様子

股関節周辺だけではなく、身体の状態に応じて施術内容を組み立てます(施術イメージ)

経絡治療では股関節痛をどのように考える?

たかはし治療院では、 東洋医学の考え方に基づく 経絡治療を施術の基本の一つとしています。

経絡治療では、 「股関節痛だから胆経」 「股関節だから腎経」 というように、症状名だけから一律に使用する経絡を決めません。

脈や腹部などを確認し、 その日の身体の状態を東洋医学的に整理したうえで、 使用する経絡・経穴・刺激量を考えます。

施術前に確認する主な内容
  • 股関節のどこが痛いか
  • いつ頃から痛みがあるか
  • 歩き始め・長時間歩行など、どの動作で痛むか
  • 股関節の動かしにくさ
  • 腰痛・脚のしびれの有無
  • 医療機関での診断・画像検査内容
  • 脈の状態
  • 腹部の状態
  • 睡眠・疲労
  • その他の身体症状

そのうえで、 必要に応じて股関節周囲への鍼や、 手足などへの鍼を組み合わせます。

「気血の滞り」が医学的な股関節痛の原因という意味ではありません

東洋医学では、 身体を「気」「血」「経絡」「臓腑」などの概念で捉えます。

伝統的には経絡を「気血が巡る道筋」などと説明しますが、 経絡は現代医学の血管・神経・リンパ管そのものを意味するものではありません。

「股関節痛はエネルギーの循環不良が原因」 「経絡を流せば軟骨や関節の変形が治る」 と現代医学上の事実として説明することはできません。

当院では経絡治療を、 東洋医学独自の身体評価と施術を組み立てるための体系 として用いています。

YNSA(山元式新頭鍼療法)を股関節痛に用いる場合

YNSAは、 Yamamoto New Scalp Acupuncture の略で、 山元敏勝医師によって考案された頭皮への鍼療法です。

元の記事では 「YNSAは経絡治療を基にした方法」 という説明がありますが、 当院では経絡治療とYNSAは別の施術体系として考え、 必要に応じて組み合わせています。

股関節痛の場合には、 施術前に可能な範囲で立ち上がり、 股関節の動き、歩行などを確認し、 施術後にも同じ動作を行っていただくことがあります。

その場で痛みや動かしやすさに変化がみられることはありますが、 それだけで股関節の病変が改善した、変形性股関節症が治ったと判断することはできません。

股関節痛に対して必要に応じて行うYNSA山元式新頭鍼療法

股関節の動きや歩行などを確認し、必要に応じてYNSAを組み合わせます(施術イメージ)

YNSAと股関節痛についての研究

YNSAについては、 変形性関節症の慢性痛を対象とした小規模な研究があります。

2013年の研究では、 変形性関節症による慢性痛がある女性30人に YNSAを1回行い、 施術前と1時間後の痛みが比較されました。[7]

痛みの変化は報告されていますが、 対象は30人と非常に少なく、比較対照群もなく、股関節痛だけを対象とした研究でもありません。

したがって現時点では、 「YNSAは股関節痛に効果が証明されている」 「数回で歩けるようになる」 「通常の鍼より優れている」 と説明することはできません。

当院ではYNSAを、 身体の状態と施術前後の反応を確認しながら利用する 施術方法の一つとして位置づけています。

たかはし治療院では股関節痛をどのように確認する?

股関節痛で来院された場合には、 「痛い場所へ鍼をする」ことから始めるのではなく、 現在の症状について確認します。

股関節痛で確認する主な内容
  • いつ頃から痛みがあるのか
  • 鼠径部・外側・臀部など、どこが痛むか
  • 転倒やスポーツなど明確なきっかけがあったか
  • 歩き始めから痛むのか
  • 何分・何メートル程度歩くと痛むのか
  • 階段で症状が変化するか
  • 靴下を履く、爪を切る動作はできるか
  • 股関節の動かしにくさがあるか
  • 脚を引きずるような歩き方になっていないか
  • 腰痛・脚のしびれを伴うか
  • 安静時痛・夜間痛があるか
  • 医療機関での診断・画像検査内容
  • 服用している薬
  • 脈や腹部など東洋医学的な身体の状態

特に股関節痛が強い方や、 まだ原因について医学的な評価を受けていない方では、 必要に応じて整形外科での確認をおすすめします。

状態に応じて組み合わせる施術
  • 経絡治療
  • YNSA(山元式新頭鍼療法)
  • 股関節・臀部・大腿部周囲などへの鍼
  • 身体の状態に応じた手足への鍼
  • あん摩マッサージ指圧

医療機関での診断や治療が必要な場合にはそれを優先し、 そのうえで補完的な方法として鍼灸を利用する という考え方を大切にしています。

股関節痛は「その場で痛みが減ったか」だけで判断しない

施術直後に 「立ち上がりやすい」 「歩く時の痛みが少ない」 「股関節を動かしやすい」 と感じる場合があります。

しかし、その場での変化だけで 股関節症などの病気そのものが改善したと判断することはできません。

経過を見る際に確認したいこと
  • 歩ける時間・距離が変わったか
  • 歩き始めの痛みがどう変化したか
  • 階段の上り下りへの影響
  • 椅子からの立ち上がり
  • 靴下を履く動作
  • 買い物や外出への影響
  • 夜間痛の変化
  • 痛みを気にせずできることが増えたか

痛みの点数だけではなく、 実際の日常生活で何ができるようになったか も確認しながら経過をみます。

股関節の痛みがある時、日常生活で意識したいこと

「股関節を守るために、なるべく使わない方がよい」 とは一概に言えません。

特に変形性股関節症では、 現在の状態に合った運動を継続していくことが重要です。

1.痛みを我慢して運動し続けない

運動は大切ですが、 強い痛みを我慢しながらスクワットや長距離歩行を続ける必要はありません。 その日の症状に応じて負荷を調整します。

2.「この運動なら股関節に効く」と一律に決めない

筋力強化、ウォーキング、水中運動などさまざまな方法がありますが、 病気の種類や身体機能によって適した内容は異なります。 必要に応じて医師や理学療法士などに相談してください。

3.全く動かない状態を長く続けない

痛みを避けるためにほとんど歩かなくなると、 活動量や筋力が低下することがあります。 診断や症状に応じて、 可能な範囲で日常活動を続けることを考えます。

4.必要なら杖などの補助具も検討する

歩行時痛が強い方では、 杖などの歩行補助具が負担軽減に役立つ場合があります。 高さや使い方も重要なため、 必要に応じて医療機関やリハビリテーションで相談しましょう。

5.体重管理が必要な方では無理のない方法で

変形性関節症があり、体重管理が医学的に適切な場合には、 減量が痛みや身体機能に役立つ可能性があります。[4] ただし、極端な食事制限をする必要はありません。

6.生活の中で「できなくなった動作」を確認する

歩ける距離だけでなく、 靴下を履く、車へ乗る、階段を使う、 買い物をするなど、 以前より難しくなった動作を記録しておくと経過を確認しやすくなります。

大磯・平塚周辺で股関節痛の鍼灸院を選ぶ時のポイント

股関節痛では、 「YNSAをやっている」 「特殊なツボを使っている」 といった施術方法の種類だけで選ぶ必要はありません。

  • はり師・きゅう師の国家資格を確認できる
  • 歩行や股関節の動きを確認している
  • 医療機関での診断内容を確認している
  • 危険な症状があれば整形外科受診を勧めている
  • 「○回で治る」と一律に保証していない
  • 変形した関節そのものを鍼で元に戻せるとは説明していない
  • 日常生活や運動についても相談できる

口コミや「一回で良くなった」という体験談は参考にはなりますが、 他の方と同じ結果になることを保証するものではありません。

鍼灸・経絡治療について詳しく知りたい方へ

脈や腹部などを確認しながら行う、 たかはし治療院の鍼灸・経絡治療についてご紹介しています。


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YNSA(山元式新頭鍼療法)の特徴や施術の流れ、 現在の研究などをご紹介しています。


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股関節だけでなく腰・脚にも症状がある方へ

臀部や脚への痛み・しびれを伴う場合には、 腰からの症状について確認することも大切です。


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股関節痛・鍼灸についてよくあるご質問

Q. 歩くと脚の付け根が痛いのは変形性股関節症ですか?

変形性股関節症でよくみられる症状ですが、 それだけで診断することはできません。 大腿骨頭壊死症、股関節周囲の組織、腰からの関連痛など別の原因もあるため、 症状が続く場合には整形外科で確認してください。

Q. 股関節痛は歩かない方がいいですか?

原因や症状によります。 変形性股関節症では、その方に合わせた運動は保存療法の重要な一部です。 強い痛みを我慢する必要はありませんが、 自己判断で長期間ほとんど動かなくなることが最善とは限りません。

Q. 鍼灸は股関節痛に効果がありますか?

股関節痛に対する鍼灸研究では有用性を示す結果もありますが、 2023年のシステマティックレビューでは研究の質や規模の問題から、 エビデンスは弱いと評価されています。 すべての股関節痛に同じ効果があると保証することはできません。

Q. 鍼灸で変形性股関節症そのものが治りますか?

鍼灸によって摩耗・変形した股関節を元の形へ戻すものではありません。 症状に応じて鍼灸を補完的に利用する場合はありますが、 整形外科での診断や運動療法など必要な対応を続けることが大切です。

Q. 股関節が痛いのに手や足にも鍼をするのはなぜですか?

当院の経絡治療では、 脈や腹部などから東洋医学的な状態を整理し、 その結果に応じて手足の経穴を使用する場合があります。 これは、手足のツボが解剖学的に股関節へ直接つながっているという意味ではありません。

Q. YNSAは股関節痛に効果がありますか?

YNSAと変形性関節症の痛みに関する小規模研究はありますが、 股関節痛に限定した十分な質の研究はありません。 現時点で「股関節痛にYNSAが特に優れている」と断定することはできません。

Q. 何回くらい鍼灸を受ければ歩く時の痛みが改善しますか?

原因、症状の期間、変形の程度、歩行能力、医療機関での治療内容などによって異なります。 「3回で改善する」など一律の回数をお伝えすることはできません。 歩行距離や日常動作の変化を確認しながら経過をみます。

Q. 人工股関節の手術を勧められていますが、鍼灸で手術を避けられますか?

鍼灸によって手術が不要になると保証することはできません。 痛みや機能障害が生活へ大きく影響し、 保存的な治療で十分な改善が得られない場合には、 人工股関節置換術などが検討されることがあります。 手術適応については整形外科の担当医と相談してください。

参考文献・参考資料

  1. 公益社団法人 日本整形外科学会「変形性股関節症」
  2. 公益社団法人 日本整形外科学会「特発性大腿骨頭壊死症」
  3. 公益社団法人 日本整形外科学会「大腿骨頚部骨折」
  4. NICE. Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management. NG226.
  5. Kim TH, et al. Acupuncture Treatment for Hip Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis. Healthcare. 2023;11(11):1624. PMID: 37297763.
  6. Kolasinski SL, et al. 2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee. Arthritis Rheumatol. 2020. PMID: 31908163.
  7. Allam H, Mohammed NH. The Role of Scalp Acupuncture for Relieving the Chronic Pain of Degenerative Osteoarthritis: A Pilot Study of Egyptian Women. Med Acupunct. 2013;25(3):216-220. PMID: 24761173.
  8. 日本整形外科学会・日本股関節学会 監修「変形性股関節症診療ガイドライン2024 改訂第3版」

※本記事は上記の公的資料・診療ガイドライン・査読論文などを参考に、一般の方向けに作成しています。個々の股関節痛の原因を診断するものではありません。転倒後に立てない、急激な強い股関節痛、発熱を伴う腫れ・熱感、急に歩けなくなったなどの場合には、鍼灸より医療機関での診察を優先してください。

まとめ|歩くと股関節が痛い時は、まず原因を一つに決めない

股関節周辺の痛みには、 変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、 外傷、股関節周囲の組織、腰からの関連痛など、 さまざまな原因があります。

変形性股関節症では、 立ち上がりや歩き始めの鼠径部痛、 長時間歩行のつらさ、 靴下を履きにくいといった症状がみられる場合があります。

一方、 「筋肉が硬いから」「血行が悪いから」「経絡が滞っているから」 という一つの理由だけで股関節痛を説明することはできません。

特に、転倒後に歩けない、 比較的急に強い痛みや跛行が出た、 発熱や腫れを伴うといった場合には、 鍼灸より整形外科で原因を確認することが重要です。

変形性股関節症の保存療法では、 その方に合わせた運動は重要な位置づけにあります。 鍼灸については股関節痛を対象とした研究もありますが、 研究の質や規模には限界があり、 ガイドラインによって評価も異なります。

YNSAについても、 現時点では股関節痛に対する有効性を確立した十分な研究はありません。

たかはし治療院では、 痛みの場所、歩行、股関節の動き、腰や脚の症状、医療機関での診断内容、脈や腹部などを確認し、 経絡治療・YNSA・身体への鍼・あん摩マッサージ指圧を、その日の状態に合わせて組み合わせています。

その場の痛みだけでなく、
歩ける距離、立ち上がり、階段、靴下を履く動作、外出などがどのように変化しているか
も確認しながら経過をみていきます。

歩くと股関節が痛い・
脚の付け根がつらい方へ

痛む場所だけではなく、 歩行や股関節の動き、腰・脚の症状、 医療機関での診断内容なども確認しながら、 その日の身体に合わせて施術を考えます。

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