コラム
大磯・茅ヶ崎で耳鳴りが続く方へ|首こり・自律神経との関係を鍼灸師が解説
耳鳴り自律神経鍼灸・施術首こり
自律神経や睡眠との関係も解説
耳鳴りとともに首肩こりや疲労、不眠などを感じていると、
「首こりや自律神経が耳鳴りの原因なのでは?」
と考える方もいるでしょう。
実際、一部には首や顎などからの感覚入力が耳鳴りに影響する「体性感覚性耳鳴り」という考え方もあります。
ただし、すべての耳鳴りを首こりや自律神経だけで説明することはできません。
たかはし治療院 院長 高橋道明
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
最終更新:2026年9月
「耳鳴りが続いていて気になる」
「耳鳴りだけでなく、首や肩もいつもこっている」
「首を動かした時に、耳鳴りの感じ方が変わることがある」
「疲れたり眠れなかったりすると、耳鳴りが気になる気がする」
このように、耳鳴りと首肩こり、疲労、睡眠の不調などが重なっている方もいます。
そのため、
「首こりが耳鳴りを起こしているのでは?」
「自律神経を整えれば耳鳴りも良くなるのでは?」
と考える方も少なくありません。
耳鳴りにはさまざまな原因や背景があります。
首こりや自律神経だけに原因を決めつけないことが大切です。
一方で近年では、首・顎などの身体感覚と耳鳴りとの関係が研究され、
体性感覚性耳鳴り(somatosensory tinnitus)
という耳鳴りのタイプについても研究が進んでいます。
この記事では、
耳鳴りについてまず知っておきたいこと、首肩こりとの関係、体性感覚性耳鳴り、自律神経・ストレス・睡眠との関係、耳鼻咽喉科を優先したい症状、現在の耳鳴り診療、鍼灸の研究、YNSA・経絡治療、当院での施術
について詳しくご紹介します。
耳鳴りとは?まず知っておきたいこと
耳鳴りは、外部に明らかな音源がないにもかかわらず、
耳や頭の中に音を感じる症状です。
- キーンという高い音
- ジー、ザーという音
- ピーという電子音のような音
- 低く響くような音
- 片耳だけに感じる
- 両耳に感じる
- 耳ではなく頭の中から聞こえるように感じる
耳鳴りの感じ方やつらさには大きな個人差があります。
音そのものの大きさだけでなく、
その音がどの程度気になるか、睡眠や仕事へどの程度影響しているかも重要です。
また、耳鳴りとともに
聞こえにくさ、耳の詰まった感じ、めまい
などを伴う場合もあります。
耳鳴りにはさまざまな背景があります
耳鳴りは、加齢に伴う聴力変化、さまざまな難聴、
内耳など耳の病気に伴って現れる場合があります。
一方で、必要な検査を行っても
「この一つが耳鳴りの原因」と特定できない場合もあります。
「耳鳴り=自律神経」
「耳鳴り=首こり」
「血流が悪いから耳鳴りになる」
と一つの説明だけで考えないことが重要です。
耳鳴りと首こりは関係する?
耳鳴りを訴える方の中には、
同時に首こり・肩こり・顎周囲の緊張などを感じている方もいます。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで、
首肩のつらさが強くなっている方もいるでしょう。
また、耳鳴りが気になるために身体へ力が入り、
睡眠不足や疲労も重なって、
首肩のつらさを強く感じる場合もあります。
そのため、
耳鳴りと首肩こりが同時に存在することはありますが、それだけで「首こりが耳鳴りの原因」と判断することはできません。
「首の血流を良くすれば耳鳴りが治る」とは言えません
耳鳴りと首こりを説明する時に、
「首が硬くなって血流が悪くなり、耳へ血液が届かないから耳鳴りが起きる」
という説明を見ることがあります。
しかし、すべての耳鳴りをこの仕組みだけで説明することはできません。
首肩こりを伴っている場合には首・肩・後頭部などへ施術することがありますが、
「首の血流改善=耳鳴り治療」という考えで行うものではありません。
首や顎との関係が考えられる「体性感覚性耳鳴り」とは?
近年、耳鳴りの一部には、
首・顎などからの体性感覚入力が耳鳴りの感じ方へ影響する「体性感覚性耳鳴り」
があると考えられています。[3][4]
体性感覚性耳鳴りでは、
頭や首、顎を動かした時などに、
耳鳴りの音量や音程が一時的に変化する場合があります。
- 首を動かすと耳鳴りの音が変わる
- 顎を動かすと音の大きさ・高さが変化する
- 首や顎の症状と耳鳴りの変化が関連しているように感じる
- 顎関節周囲や頚部の症状を同時に抱えている
ただし、
「肩こりがある」「首を押したら耳鳴りが変わった」という一点だけで体性感覚性耳鳴りと診断できるわけではありません。
2023年のレビューでも、耳鳴りには複数の影響因子が存在することが多く、
個々の患者さんで体性感覚の関与を正確に評価することが重要とされています。
2026年にも首・顎機能と体性感覚性耳鳴りについて研究が続いており、
現在も発展している分野です。[3][4]
自律神経・ストレス・睡眠と耳鳴り
自律神経は、心拍、血圧、消化、発汗、体温調節など、
身体のさまざまな働きに関係しています。
耳鳴りがある方の中には、
次のようなお悩みが重なっていることがあります。
- 眠りにくい
- 耳鳴りが気になって途中で目が覚める
- 疲れが取れない
- 首肩こりが強い
- 頭痛がある
- めまいやふらつきがある
- 不安や緊張が強くなっている
耳鳴りそのものがストレスとなり、
音へ注意が向き続けたり、
「このままずっと続くのではないか」と不安になったりすることもあります。
日本聴覚医学会の「耳鳴診療ガイドライン2019年版」でも、
耳鳴りの苦痛には音そのものだけではなく、
注意・感情・情動などが関係する神経生理学的な考え方が紹介されています。[1]
自律神経が耳鳴りによる苦痛や身体反応に関係することと、
「自律神経の乱れが耳鳴りそのものの原因である」ということは同じではありません。
睡眠不足で耳鳴りを強く感じることも
耳鳴りが気になって眠れない状態が続くと、
翌日の疲労や集中力低下につながる場合があります。
反対に、疲労や睡眠不足が強い日に
「いつもより耳鳴りが気になる」と感じる方もいます。
そのため当院でも、
耳鳴りの音だけでなく、睡眠や疲労、耳鳴りを気にしている時間なども経過を見る材料
にしています。
このような耳鳴りは、まず耳鼻咽喉科など医療機関へ
新しく耳鳴りが始まった場合には、
まず耳や聴力の状態を確認することが大切です。
- 突然、耳が聞こえにくくなった
- 急に耳が詰まったように感じる
- 耳鳴りと同時に聴力が低下した
- 強いめまいを伴う
- 片側だけの耳鳴りが続く
- 脈拍に合わせるような耳鳴りがある
- 顔・手足のしびれや筋力低下などを伴う
- ろれつが回りにくいなど神経症状を伴う
- これまでとは明らかに違う症状が突然現れた
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、
突発性難聴では突然の聞こえにくさに加えて、
耳鳴り、耳がふさがった感じ、めまいなどを伴うことがあり、
発症早期に耳鼻咽喉科を受診して検査・治療へつなげることが大切
と説明しています。[2]
「まず鍼灸を試して、それでも良くならなければ耳鼻咽喉科へ」という順番にはしないでください。特に急な聴力変化がある場合は医療機関を優先します。
耳鳴りでは医療機関でどのような対応をする?
耳鳴りがある場合には、
耳の診察や聴力検査などによって、
耳鳴りに関連する病気や難聴の有無を確認することが重要です。
日本聴覚医学会の耳鳴診療ガイドラインでは、
耳鳴りの治療として
教育的カウンセリング、音響療法、補聴器、認知行動療法など
について検討されています。[1]
特に難聴がある場合には、
聞こえそのものへの対応が重要になる場合があります。
「耳鳴りの音を完全に消すこと」だけが治療の目標とは限りません。
耳鳴りによる苦痛や生活への支障を減らしていくことも重要な治療目標です。
医療機関で受けている治療がある場合には、
その治療を自己判断で中断せず、
必要に応じて鍼灸などの補完的なケアを併用するという考え方が大切です。
耳鳴りに対する鍼灸|研究ではどこまで分かっている?
耳鳴りに対する鍼灸についても、
これまで複数の臨床研究が行われています。
2024年に発表された耳鳴りに対する鍼灸研究のスコーピングレビューでは、
さまざまな鍼灸方法や評価方法を用いた臨床研究が報告されていることが整理されています。[5]
また、複数のシステマティックレビューを評価した研究では、
鍼灸に肯定的な結果を示す報告がある一方で、
研究方法の質やエビデンスの確実性が全体として十分ではない
ことも指摘されています。[6]
現在の研究から「鍼灸を受ければ耳鳴りが治る」「○回で耳鳴りが消える」と断定することはできません。
当院では、必要な耳鼻咽喉科での診療を大切にしながら、
身体の状態や日常生活上のつらさに応じて鍼灸を利用しています。
たかはし治療院では、まず何を確認する?
耳鳴りという症状名だけから使用するツボを決めることはありません。
- 耳鳴りが始まった時期
- 突然始まったか、徐々に始まったか
- 片耳か両耳か
- どのような音に感じるか
- 聴力低下の有無
- 耳の閉塞感の有無
- めまいを伴うか
- 首や顎を動かすと耳鳴りが変化するか
- 耳鼻咽喉科などでの検査・診断内容
- 服用している薬
- 睡眠や疲労の状態
- 首肩・顎周囲などの状態
そのうえで身体の状態に合わせて、
YNSA・経絡治療・耳周囲や身体への鍼・あん摩マッサージ指圧
などを組み合わせます。

耳周囲への鍼を行うこともあります
身体の状態によっては、
耳周囲にある経穴などへ鍼を行うことがあります。
耳の近くに鍼をすれば、耳鳴りが直接治るという考えではありません。
耳鳴りの状態、首肩の緊張、
脈や腹部など身体全体の状態を確認したうえで、
必要と考えられる施術の一つとして選択します。

YNSA(山元式新頭鍼療法)と経絡治療
YNSA(山元式新頭鍼療法)
YNSAは、
Yamamoto New Scalp Acupuncture
の略で、山元敏勝医師によって考案された頭皮への鍼療法です。
当院では、身体に現れている反応を確認しながら、
必要に応じて頭皮の施術点へ鍼を行います。
耳鳴りの場合も、
「耳鳴り専用の一点へ鍼をすればよい」
という方法ではありません。
耳鳴りの経過や医療機関での診断内容、
身体に現れている反応などを確認しながら使用します。
YNSAが耳鳴りに対して高い効果を持つ、あるいは通常の鍼灸より優れていると、現時点の研究だけから断定することはできません。
経絡治療
経絡治療では、脈や腹部などを確認して、
東洋医学的にその日の身体の状態を整理します。
東洋医学では
「経絡」「気」「血」「臓腑」などの概念を用いて身体の状態を考えます。
これらは現代医学の神経・血管・臓器そのものを指しているわけではなく、
東洋医学独自の身体の捉え方
です。
同じ耳鳴りでも、すべての方に同じ経穴を使用するわけではありません。
その日の脈や腹部、身体の状態などを確認し、
使用する経絡・経穴・刺激量を考えます。

耳鳴りの経過は「完全になくなったか」だけで判断しない
耳鳴りは日によって感じ方が変化することがあります。
そのため当院では、
一回の施術後に音が変わったかだけではなく、
日常生活の中でどのような経過をたどっているかを確認します。
- 耳鳴りを気にしない時間が増えたか
- 音の大きさや感じ方に変化があるか
- 比較的調子の良い日が増えているか
- 眠りにつきやすくなったか
- 耳鳴りで夜中に目が覚める回数はどうか
- 首肩のつらさに変化があるか
- 仕事や日常生活への負担が変化しているか
「耳鳴りがゼロになったか」だけではなく、耳鳴りとの付き合いやすさや生活への影響がどのように変化しているか
も重要な経過の一つと考えています。
耳鳴り・首こりが気になる時の日常生活
耳鳴りがあると、
どうしても「音を消したい」と耳鳴りへ意識が向き続けてしまうことがあります。
必要な医療機関での確認を行ったうえで、
日常生活では身体の負担を増やしすぎないことも大切です。
- できる範囲で睡眠・休息時間を確保する
- 長時間同じ姿勢を続けない
- パソコン・スマートフォン作業の途中で姿勢を変える
- 無理のない範囲で身体を動かす
- 疲労が強い時は無理をしすぎない
- 極端な食事制限に頼らない
- 必要に応じて適度に水分を摂る
首を強く揉んだり、無理に伸ばしたりしない
「首をほぐせば耳鳴りが治るのでは」と、
首を強く揉んだり大きく回したりする必要はありません。
首肩こりがある場合にも、
痛みを我慢するような強い刺激は避け、
身体の状態に応じて無理のない範囲で動かしましょう。
大磯・平塚・茅ヶ崎で耳鳴り・首こりの鍼灸をお探しの方へ
たかはし治療院では、
耳鳴りという症状だけを見て施術方法を決めることはありません。
耳鼻咽喉科などでの検査・診断内容、
聞こえの状態、めまいの有無、
睡眠・疲労、首肩・顎周囲の状態なども必要に応じて確認します。
- YNSA(山元式新頭鍼療法)
- 経絡治療
- 耳周囲や首肩などへの鍼
- 身体の状態に応じた手足への鍼
- あん摩マッサージ指圧
急な聴力低下など、
医療機関での評価を優先した方がよいと考えられる場合には、
鍼灸施術より先に受診していただくことがあります。
耳鳴り・首こり・鍼灸についてよくあるご質問
首肩こりと耳鳴りが同時にみられることはありますが、
すべての耳鳴りが首こりによって起きているわけではありません。
耳・聴力の状態を確認したうえで、
首肩の緊張などがある場合には必要に応じて施術します。
首や顎の運動によって耳鳴りの音量や音程が変化する方がおり、
体性感覚性耳鳴りが関係している可能性を考える材料の一つになります。
ただし、それだけで原因を確定することはできません。
耳鳴りを自律神経だけで説明することはできません。
自律神経は耳鳴りに伴う身体反応や苦痛と関係する場合がありますが、
まず耳や聴力の状態を確認することが重要です。
急な耳鳴りに加えて、
聞こえにくさや耳の閉塞感、めまいなどがある場合には、
まず耳鼻咽喉科など医療機関での確認を優先してください。
医療機関での治療内容や診断について初回にお知らせください。
医師から処方されている薬を、
鍼灸を受けるために自己判断で中止・変更する必要はありません。
耳鳴りに対する鍼灸の臨床研究はありますが、
研究方法や施術内容にばらつきがあり、現在のエビデンスだけから
「耳鳴りに確実に有効」と断定することはできません。
身体の状態に応じた補完的な施術の一つとして利用します。
発症からの期間、聴力の状態、耳鳴りの種類や強さ、
医療機関での診断などによって異なるため、一律の回数をお伝えすることはできません。
耳鳴りを気にしない時間、調子の良い日、睡眠や日常生活への影響なども確認しながら経過をみます。
参考文献・参考資料
- 一般社団法人 日本聴覚医学会「耳鳴診療ガイドライン2019年版」
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の病気―突発性難聴」
- Michiels S. Somatosensory Tinnitus: Recent Developments in Diagnosis and Treatment. J Assoc Res Otolaryngol. 2023;24(5):465-472. PMID: 37794291.
- Demoen S, et al. Neck and jaw dysfunctions in somatosensory tinnitus: Clinical insights and implications. Musculoskelet Sci Pract. 2026;83:103546. PMID: 41887141.
- Lee KH, Kim MH, Kim J, Nam HJ. Acupuncture for Tinnitus: A Scoping Review of Clinical Studies. Complement Med Res. 2024;31(3):292-301. PMID: 38531340.
- Xu X, et al. Effects of acupuncture on the outcome of tinnitus: An overview of systematic reviews. Front Neurol. 2022. PMID: 36468042.
※本記事は上記の学会資料・診療ガイドライン・査読論文などを参考に、一般の方向けに作成しています。個々の症状を診断するものではありません。急な聴力低下などがある場合には、鍼灸より医療機関での診察を優先してください。
まとめ|耳鳴りを「首こり・自律神経」だけで判断しない
耳鳴りがある方の中には、
首肩こり、疲労、不眠、めまいなど
複数の症状が重なっている方もいます。
また、一部には首や顎などの体性感覚が耳鳴りの感じ方に影響する
体性感覚性耳鳴り
というタイプも研究されています。
しかし、
すべての耳鳴りを首こり・血流・自律神経だけで説明することはできません。
まず必要に応じて耳鼻咽喉科で耳や聴力の状態を確認し、
特に急な聞こえにくさ、耳の閉塞感、めまいなどがある場合には早めに受診することが大切です。
鍼灸については耳鳴りを対象とした研究がありますが、
現在の研究の質にはばらつきがあり、
「鍼灸で耳鳴りが必ず治る」と言える段階ではありません。
たかはし治療院では、
YNSA・経絡治療・耳周囲や首肩への鍼・身体への鍼・あん摩マッサージ指圧
などを、その日の身体の状態に合わせて組み合わせています。
耳鳴りについても、
「完全になくなったか」だけではなく、 耳鳴りを気にしない時間が増えたか、比較的調子の良い日が増えたか、睡眠や日常生活への負担がどのように変化したか
なども含めて経過を確認します。
お悩みの方へ
医療機関での診断内容や聞こえの状態、
耳鳴りの経過、睡眠・疲労・首肩の状態などを確認しながら、
その日の身体に合わせて施術内容を考えます。
院長 高橋道明
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師




